コロナ、インフレと苦境を強いられる中、それを言い訳とせずワタミは「SDGs」に力を入れている。

先日、ワタミが展開するフライドチキン専門店「bb.qオリーブチキンカフェ」大鳥居店がエコマーク認証店を取得した。オーガニックやオリーブオイルを用いて、健康に優しく、サステナブル(持続可能性)を意識した店だ。「フードロスを減らす」「エコな備品設備」「省エネ・節水」など6項目が認められた。

「から揚げの天才」など、テークアウトやデリバリー業態で使用しているカトラリー(スプーンやフォークなど)は木製に変えた。温室効果ガスの1つであるフロン類の適正な管理を推進する、一般財団法人日本冷媒・環境保全機構の格付けでは、外食業界唯一のAランクを取得した。

ワタミでは「容器包装の見直し」「オーガニックの推進」、再生可能エネルギー100%を目指す「RE100」といったタスクフォースを設置し、毎月、どれだけ現実を変えたか、SDGs会議で確認している。

私も国会議員時代、国の環境政策を間近でみてきた。国の政策では、方針や目標は掲げるが、官僚も政治家も結果責任を負わない。コミットがないために現実が変わらない。企業経営では担当者が、責任を持って現実を変える。

先日もワタミの宅食で、一番自然エネルギーを販売した女性マネジャーと、お弁当容器を80%以上リサイクル回収している営業所の女性所長の話を聞いた。社内一、結果を出している2人は、できない理由、やらない理由を、ひとつひとつ工夫して解決していた。しつこいほど話すことで共感の輪が広がる、そうも話していた。

多くのお客さまが、容器回収に協力してくださる。コンビニの捨てるお弁当容器より、手間がかかるが、ワタミの宅食を選んでくださる。企業がきっかけをつくり、社会を良くすることに参加している満足感も商品の一部だと思う。

ワタミの宅食は1月に茨城県ひたちなか市と「高齢者見守り活動等への協力に関する協定」を締結した。宅食の配達スタッフが高齢者を見守るもので、協定は現在全国238の自治体と結んでいる。お弁当を届けても応答がないなど、高齢者の体調急変に配達スタッフ気がつき、家族や119番に連絡して命を救った数は、毎年100件を超える。配達スタッフは多くの感謝状を受け取っている。

先日は、愛知県警が高齢者詐欺のパンフレットを配布するなど、警察や自治体と連携している。ワタミの宅食は「住み続けられるまちづくりを」というSDGsの一項目のお手伝いをしながら、収益も成り立つ事業だ。

ワタミは、SDGs日本一を目指している。なぜ、目指すのかと聞かれれば、「未来の子供たちのことを考えて」しかない。日本の未来、地球の未来には本来は政治家がコミットするべきだ。

【夕刊フジ】「渡邉美樹経営者目線」(毎週火曜日連載)より