新型コロナの感染「第7波」の拡大が懸念されている。
先日、ニッポン放送の番組で、私の主治医でもあり、ドイツ・ボッフム大学永代教授の南和友医師と対談した。

今後について「第6波までで、かなりの集団免疫ができて、7波のピークはそれほど高くならず、それ以降も小さな感染の波はあるが、夏過ぎには収まるのではないか」との見解を示した。その上で「新型コロナの5類相当への変更も考える時期に来ている」と提言していた。ワクチンの3回目接種もカギになるが「人により抗体量が違う」ので、抗体量を測る「抗体検査」の重要性を指摘していた。

南医師の話を聞き、政府の専門家も「集団免疫」や「抗体量」について、情報を示すべきに思う。集団免疫まで、いかになだらかにもっていくかも技術で、経営の発想にも近い。

欧米はスポーツ観戦でもノーマスクが目立つ、完全に「ウィズコロナ政策」だ。一方の中国は「ゼロコロナ政策」を継続するが、上海のロックダウン(都市封鎖)などを見ても、社会経済活動は相当傷つく。重症化リスクが低くなってきた今とるべき政策としては「ゼロコロナ」は誤りであることは明らかだ。

日本も経済産業省が「ワクワク割」の導入を決めているが、「3回接種」を機に、ここで岸田文雄首相は明確に、「ウィズコロナ宣言」をし、経済をまわすべきだ。私が主宰する経営塾でもコロナとインフレで経営が厳しいと多数の相談を受ける。

蔓延(まんえん)防止等重点措置解除後も居酒屋業界はとくに苦戦を強いられている。緊急融資の返済もはじまり、居酒屋フランチャイズのオーナーの中には「資金繰りがあと半年から一年」という声が多い。

「BIGLOBE」が3月に20~50代を対象に実施した調査では「会社関係での会食」について、約60%は「しなくても良いと思うようになった」と答えている。一方で「機会を増やしたい」と回答した中では、「友人との会食」(32・2%)や「家族との会食」(30・3%)が上位に来る。このデータは生活スタイルの変化の象徴だ。

オフィス街の店や、会社関係の大型宴会は今後もきびしいと判断し、ワタミは居酒屋業態「ミライザカ」「三代目鳥メロ」の改革に着手しはじめた。従来は宴会が収益源だったが、立地が住宅街ならば、家族を対象としたメニューや、盛り付けの量も工夫していく。

「和民」はもともと、家族向けの「居食屋」をコンセプトに始めた。社風として居酒屋と定食屋の融合に強い。冷凍食品や大量生産が普及する中「手作り」「ひと手間」「季節感」によりこだわる。数カ月以内に価格も含めグランドメニューを変更する。経営は「変化対応業」だ。

生活スタイルが変わるなら、居酒屋も変化していく。5類相当への変更で、経済は相当正常化する。政府にもそろそろ「変化」を期待したい。

【夕刊フジ】「渡邉美樹経営者目線」(毎週火曜日連載)より