都内の感染経路の50%が家庭内感染なのに外食は4人以内までと、東京都の小池百合子知事は飲食店の経営を圧迫させる要請を出す。専門家はすぐ外食を悪とする。4人以上の会食で、どれだけ感染者が増えるのか「科学的根拠」を示すべきだ。

都知事や専門家のメッセージで、感染者数に比例して、飲食店の客足は減少しており大打撃だ。東京都などでは現在、蔓延(まんえん)防止等重点措置も緊急事態宣言も発令されておらず、協力金はない。この状況が一番経営にとって苦しく、このままでは都内の飲食店はバタバタと閉店していくだろう。

岸田文雄首相は新型コロナウイルスを「インフルエンザ相当の5類」に位置付け経済をまわす方針を明確にするべきだ。もしくは、十分な補償をセットにした上で、時短要請や休業要請を守らない店に「強制力を持たす法整備」を行い短期間で感染を収束させる方針を出すべきだ。いずれも総裁選の前には声高に発言していたことであり、決断実行して頂きたい。

飲食店逆風の中だが、ワタミが展開する「から揚げの天才」では新しくのり弁を販売することにした。から揚げの天才は、日本の外食チェーン史上最速で100店舗を達成した。しかし、ここでもう一段攻める。国内にはコンビニや「ほっともっと」をはじめ、約2600億円の弁当市場がある。もはや、から揚げ市場だけを見ていない。こうした厚みのあるレッドオーシャンを攻めるのがワタミの得意とする戦略だ。

弁当で圧倒的な一番人気は「のり弁」だ。商品と価格には徹底的にこだわる。のり弁の価格は299円(税込み322円)にこだわった。のり弁の主役、白身魚のフライは、すし事業で提携関係にある国内最大手の水産会社から仕入れ、競合他社と「同じ以上」の「大きさ」と「味」にこだわった。他社との差別化はもちろん、人気のから揚げだ。から揚げ付きの「天才のり弁」は399円(税込み430円)とした。

「から揚げ戦争」と呼ばれるほど、から揚げ店は急速に増えた。しかし100店の店数と、ワタミの資本力、仕入れ力で、できることはたくさんある。今後も人気のから揚げをつけた弁当のラインアップを充実させ、揚げたて弁当で国内ナンバーワンを目指していく。

外食産業は本来、こうして「規制」や「既得権」のない、フェアな勝負ができる産業だった。競合と戦うことも、景気が悪いことも、今までいくらでも乗り切ってきた。

しかし、ここ2年は違う。「営業に規制」をかけることは、経済活動を止めることだ。「国に従え」というなら、科学的根拠と、補償、強制力はセットにすべきだ。国会が始まったが首相にこう問いたい。
「経済を止めるのですか、止めないのですか」

【夕刊フジ】「渡邉美樹経営者目線」(毎週火曜日連載)より