東京都などで時短要請など全面解除された。しかし「平日に飲む文化」が壊れてしまい、客足が元に戻るかは疑問だ。

飲食店の経営者からは「8000万円借金していて、協力金なければ月100万円の赤字。協力金でプラスマイナスゼロ」「借金5億5000万円、現金2000万円の債務超過。5月の協力金も入金されない」といった相談があった。

全面解除して70%しか客足が戻らなければ、相当の飲食店が倒産するかもしれない。「飲んで帰る=社会悪」の風潮を変えないといけない。

とにかくキーワードは「安心」だ。ワタミは接客従業員に抗原検査を実施するなど、月額約1000万円のワタミ安心宣言を継続している。

事業者がワクチンパスポートを導入しようにもワクチンへの「否定・批判」も一定数ある。国がはやく具体的方針を決めてほしい。

何より感染者数が減っている「今、取り組むべきこと」がある。病床数をしっかり確保し、ワクチンパスポートや検査パッケージを確立することだ。第6波が来たら「しかたない」ではなく、やれることはある。

外食産業が厳しい中でもワタミはSDGs(持続可能な開発目標)の取り組みを進める。先週22日には愛知県で開催された「SDGs AICHI EXPO 2021」で基調講演した。コロナだから「SDGsどころではない」「しかたない」では、たがが外れる。

今年更新した「ワタミ環境レポート2021」では、「事業がどのぐらい負荷を与えているか」「店舗、工場別、有機農業、森林において「1年間で二酸化炭素(CO2)をどれほど排出、吸収しているか」を新たに記載した。その上でワタミが「今、取り組んでいること」をまとめた。

ワタミの焼肉店の割りばしは、森林再生の間伐材を使用している。ワタミの宅食のお弁当の容器はゼロカーボンで、回収再生するリサイクルループだ。お客さまも応援と協力をしてくださる。環境は一人ひとりの小さな意識の変化が、大きな変化を生む。

スウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥーンベリさんを描いた映画「グレタ-ひとりぼっちの挑戦-」を見た。グレタさんの意見に反対はしないが、攻撃的すぎる面があり、意識を持とうとする人も否定的になりかねない。飛行機を使用せずヨットで移動をする姿は、共感より違和感を生んでしまうことを心配する。

ワタミのSDGs経営の最大の象徴は、再生可能エネルギー100%を目指す「RE100」だ。すでに本社ビルの電気を100%再生可能エネルギーにした。

しかし、自然エネルギーはコストが高い。本気でSDGsの実現を掲げるなら、自然エネルギーに関する税と法律の見直すべきだ。衆院選をみても「地球環境」の話はいっさい争点にならない。「財政規律」も「地球環境」も、コロナだから「しかたない」は危険な考え方だ。

【夕刊フジ】「渡邉美樹経営者目線」(毎週火曜日連載)より