新型コロナウイルスの感染者数の増加が止まらない。飲食店の再開も目途が立たない。本格再開は「来春」という可能性すら感じている。一日も早くこの現状を打開する政策を緊急提言したい。

政府は、中等症患者を自宅療養にする方針を一時打ち出したが「後手の極み」だ。知人がコロナに感染した際、数日後に急変した事例も聞き、この方針は国民に理解されない。病床数を確保すれば、救える命がある。今すぐ、国会を開いて、五輪会場の跡地などに大規模なコロナ専用のプレハブの仮設病院を建設し、全国の大学病院や医師会から、医師を派遣して貰う法整備を行うべきだ。

そしてもう一つ、ロックダウン(都市封鎖)の法整備だ。緊急事態という名の「かけ声」だけでは、人流も感染者数も抑制出来ないのは明白だ。中国で感染者数と死者数を抑えたのは、完全なロックダウンができたためだ。拡大地域での外出禁止や、公共交通機関の停止も視野に入れながら、やむを得ない人のみに通行証を発行すればいい。

感染拡大が収まった後は、ニューヨーク市のようにワクチンの接種証明書を活用し、社会経済活動を回していく仕組みも検討すべきだ。こうして、今からでも打てる手はある。

入院厳格化に関する野党議員の質問に、田村憲久厚労相は「平時ではないということをどうかご理解いただきたい」というが、平時でない状態を作ったのは政府だ。「国民の命と健康を守る」と述べた政府の完全な敗北だ。謝罪や解決策を出さず「ご理解いただきたい」では、「問題の先送り」で「大いなる現実逃避」だ。

この秋に控える衆院選、自民党の「単独過半数割れ」を夕刊フジで予測していた、選挙プランナーの松田馨さんとニッポン放送の番組で意見交換した。東京五輪のメダルラッシュは菅義偉政権の支持率回復にはつながらず、「感染者数=不支持率」につながると指摘していた。

さらに今回は、野党も小選挙区で候補者調整が進み、自民党はかなりきびしい戦いになると予測していた。注目すべきは自民に不満があるが、立憲民主党や共産党は支持できないという層の受け皿として、日本維新の会が3倍増の議席を獲得するという見立てだ。

私は、閣僚や与党議員の「政治とカネ」の問題も大きいと感じる。この難局で自民党が勝とうと考えるならば、コロナ対応の誤算を素直に謝罪し、「政治とカネ」の問題も該当する選挙区に候補者を立てないなど、誰が聞いても納得する潔さを表現すべきだと思う。横浜市長選(22日投開票)は衆院選に向けた試金石になる。菅首相は、IRで意見が異なる、小此木八郎氏の支援を表明した。後からやむを得ず支持した形にみる市民も多い。

ただ、自民党議員だった私の意見として、菅首相の他に、今「首相」がつとまる政治家は見当たらない。だからこそ首相には、ここから「先手、先手」を期待したい。

【夕刊フジ】「渡邉美樹経営者目線」(毎週火曜日連載)より