東京都の「夜7時まで」「90分」「2人以下」の酒類解禁だが「中途半端」すぎる。NHKなど各マスコミから私にも取材があったが、夜7時からコロナが感染拡大するわけではない。アクリル板設置など飛沫(ひまつ)対策を行った上、100席のお店なら半分の50席を上限とし営業を許可すべきだ。イベントは上限人数で線引きし、飲食店は時間で線引きをする、「規制の基準が違う」のは大きな矛盾だ。

東京都をはじめ協力金の支払いが遅く、繁華街では続々と営業を再開する店が増えてきている。営業している店は、満席で繁盛している。守る店と守らない店で「売り上げと利益」の格差が広がっていく。五輪は開催、飲食店は休業、そうした中途半端な方針への理解は限界に来ていると感じる。

中途半端といえば、都民ファーストの会の実績や、公約も気になる。今週から始まる東京都議会議員選挙(6月25日公示、7月4日投開票)の争点もあいまいだ。五輪の開催可否について、各党が明確に争点とすべきだ。1兆円近くあった、東京都の貯金にあたる財政調整基金が2021年度末に20億円に減ってしまった。都の財政と、未来をどう描くかも争点にすべきだ。

都民ファーストの会は先日発表した「政策集2021」で、世帯年収に応じた年間最大15万円の給付や学生の携帯電話料金の実質無償化など、迎合的な政策を打ち出している。
自民党も、個人都民税の20%、事業所税の50%減税を公約案に明記しており迎合的ではあるが、海外企業の誘致や、成長産業への支援強化を掲げており、このへんは大いに期待したい。

いずれにしても「減税」を掲げながら、将来への展望を掲げていないのはダメだ。さらに、公用車の廃止も達成できなかった小池都政や、都民ファーストの会の4年間を何ができたのか、しっかりと検証をすべきだと思う。

都民ファーストの会が議席を失えば、小池都知事は自民党に配慮した議会運営を迫られる。そもそも都議会自民党を批判し当選した経緯なども踏まえれば、今後の改革が中途半端にならないか懸念も残る。

五輪開催のため飲食店だけに負担を押し付ける東京都だが、ワタミグループでは、居酒屋の昼間を「本格うどん店」に変身させることにした。創業18年の武蔵野うどんの名店「めんこや」のブランドを復刻させ、コシの強いうどんを提供する。看板もメニューも昼間は変え、二毛作業態とする。こだわったのは「本格うどん」であることだ。

中途半端が目立つ世の中で、本格にこだわっていきたい。

【夕刊フジ】「渡邉美樹経営者目線」(毎週火曜日連載)より