「和民」以来、私自身が本格的に全面プロデュースしたお店となる、和牛焼肉食べ放題「かみむら牧場」のメディア説明会を先週開いた。国産和牛A4ランク以上が3980円で食べ放題で、独自開発した特急レーンでお肉をテーブルまで運ぶ。世界中、他にはない店を作った。

アフターコロナで外食業界の転換が注目される中、ワタミは「攻めに出る」意思表示をした。この店は4分で店の空気が全て入れ替わる。今後、外食自体の回数は減るだろうが焼肉のように、「外で食べた方がおいしいもの」は求められる。

特にA4ランクの食べ放題は家では無理だ。誕生日や記念日など「ハレの場」のファミリー層を徹底的に取り込む。東京・蒲田の1号店は連日家族連れで大にぎわいだ。和牛焼肉から、サラダバー、キムチバー、牛骨ラーメン、デサートまでついている。大事なことはお客さま目線だ、お父さんお母さんが値段を気にせず子供に「おなかいっぱい食べなさい」という世界観をワタミは創業以来大事にしてきた。

この店は、すでに海外を視野に入れている。参院議員時代に、自民党クールジャパン戦略推進特命委員会で座長を務めたが、達成できなかったことも多い。今後の日本は、人口減少で、外食産業はどう世界と戦うかが勝負になる。世界中の万博で圧倒的に人気のあるものは、「和牛だ」と官僚が答えていた。国産和牛をもっと広めたいと、この頃から思っていた。

その実現には、仕入れ力が求められる。その相手として、鹿児島の畜産大手カミチクと出会い、ワタミカミチク株式会社という合弁会社を作った。薩摩牛をはじめ、1万8000頭の牛は直営で子牛から飼育している。寝藁がきれいで、オルゴールを聞きながら抜群の環境で育った牛の肉は、最上級だ。上村(かみむら)昌志会長が一代で築いたベンチャー企業であり、6次産業モデルもワタミと共通しており文化も近い。合弁で安定供給に不安がない。両者が拡大していける。

すでに、台湾、ベトナムでの出店が決まっており、今後、中国、アメリカと出店計画がある。10年後には、国内400店舗、海外は20カ国に300店舗の計700店舗、1店舗当たり売り上げ約1億5000万~2億円のボリュームあるチェーン店を見据えている。

マスコミからは、たくさんのコロナ関連の質問を受けた。冷静に受け止め、その上で大きな夢を語り続けた。大事なことはトップが夢を語ることだ。これからのワタミは「かみむら牧場」でいく。和牛の和民と、世界で言われる日を確信している。

【夕刊フジ】「渡邉美樹経営者目線」(毎週火曜日連載)より