参議院経済産業委員会で
25分の質疑をしました。
本ブログで三回に分けて、質疑の内容を
紹介させていただきます。

皆さんは内閣府から年に二回、
「中長期の経済財政に関する試算」
というレポートが発表されているのを
ご存知ですか?
概ね今後10年間の日本の経済成長率、
物価上昇率、長期金利、税収、
社会保障費などの歳出、基礎的財政収支
(プライマリーバランス)などを
試算したものです。
ベースラインケースと経済再生ケースの
二つのパターンで試算されています。
ベースラインケースとは、
足元の経済状況を見て、
比較的固めに試算した場合。
経済再生ケースとは、
高成長が実現できた場合、
別の言い方をすれば、楽観的な試算結果
ということになります。

政府はこれまで、基礎的財政収支を
2020年までに黒字化すると
世界に向けてコミットしてきました。
しかし、1月23日に発表された
直近のレポートでは、黒字化するのは
経済再生ケースでも2027年です。
世界に向けてコミットした2020年から
7年遅れです。
しかも、楽観ケースの場合ですから、
2027年に本当に基礎的財政収支を
黒字化できるか、大いに疑問です。

しかし、私が今回、質問した論点は
基礎的財政収支のことではありません。
それは、長期金利です。

1月23日に発表された試算では、
経済成長ケースの場合、
2020年の名目長期金利は0.4%、
2021年は0.9%でした。
ところが、約半年前に発表された試算では、
名目長期金利は2020年で1.4%、
2021年は2.5%でした。
今回の試算は、半年前の試算と比較して
長期金利が3分の1になった
ことになります。
たった半年で、なぜこうも結果が
違うのでしょうか?
金利が低く試算されたということは、
どういうことでしょうか?

日銀は、異次元の金融緩和という
名のもと、国債を年80兆円のペースで
買い続けています。
事実上の財政ファイナンスです。
日銀の保有する国債は、
直近で454兆円まで膨れ上がりました。
この国債は日銀のB/S上の資産
となりますが、その国債は金融機関から
買っていますので、
B/Sの負債サイドには当座預金として
365兆円が計上されています。
長期金利が上昇すれば、
日銀が金融機関に支払っている
利払いが高騰し、一方で、
日銀が資産として持っている国債から
得る利息収入との逆ザヤが発生し、
日銀そのものが債務超過になる
恐れがあるのです。
つまり、長期金利を低くなるように
試算すれば、それは政府や日銀にとって
好都合なのです。
内閣府の試算は、なぜたった半年で
こんなにも試算結果に違いが生じるのか?
そこに恣意性は入っていないのか?
最初の質問として、私はその点について
内閣府に確認しました。

次に、日銀に質問をしました。
先ほども触れましたが、
日銀は年80兆円のペースで国債を
買い続けています。
しかも、日銀の新人事が先日
発表されましたが、
新たに副総裁に任命された若田部教授は
「必要ならば、躊躇なく追加緩和を
行うべきだ」と仰ったとのこと。
私は耳を疑いました。
これ以上、国が借金を増やし続け、
日銀が国債を買い続けて、
もし、長期金利が上昇したら、
日本は一巻の終わりです。
でも、日銀が「もう国債は買いません」
あるいは「国債を買う量を減らします」
と宣言したら、
長期金利は間違いなく上昇します。
ですから、買い続けなければならない。
でも、いつまでも買い続ける
わけにはいかない。
ようするに、出口がないのです。
日銀は、いったいどこに出口を見出すのか?
出口戦略はどうなっているのか?
その点について、日銀の見解を聞きました。

内閣府の回答も、日銀の回答も、
正直、納得できるものでは
ありませんでした。

私は自民党の財政金融部会で
新たな勉強会を発足させ、
内閣府の試算の妥当性やこの国の
財政の真実の姿をあぶり出し、
必要な打ち手を検討する足掛かり
にしたいと考えています。
今回の質疑は、そのための布石です。

【次回】
日銀による上場投資信託(ETF)の保有

【次々回】
中小企業支援体制について