マスコミも注目する、カジノ法案。
自民党のP・T(プロジェクトチーム)
で行われている、その話し合いに、
経営者の感覚で強い違和感を覚えます。

政府案を聞くと、
「入場料はいくらにするべきか?
無料?2,000円?5,000円?」
「カジノの面積は?15,000㎡以下?」
経営の根幹を為す条件を、
政府が規定しようとしています。

今回の法案では、
大金を賭けるハイローラーと呼ばれる
大口顧客に、部屋を貸したり、
お金を貸したりして接待する「ジャンケット」
の存在を認めていません。
且つ、一定額以上
(先日のP・Tでは、1万シンガポールドル
日本円で約80万円以上)
の現金取引については、
日本人・外国人問わず監視し、
「カジノ管理委員会」に報告させる、
とあります。

この法案が100%実行されれば、
ハイローラーは激減することでしょう。
マネーロンダリングを排除するためにも、
この点については賛成です。

一方で、I・R(統合型リゾート)の
収益の90%以上はカジノで稼いでいます。
非常に歪なビジネスモデルの上に
成り立っているのが、
I・R(統合型リゾート)ビジネスなのです。
ハイローラーが激減すれば、
当然カジノの収益も激減します。
カジノで90%以上の収益が見込めない法案
のもと、I・R(統合型リゾート)運営会社は、
「カジノ以外で儲けるビジネスモデル」
をつくり上げなければならないのです。

ホテル、飲食店、ショッピングモール、
エンターテイメント施設、国際会議場。
これだけで足りないのなら、
ディズニーランドやUSJのような
テーマパークを
I・R(統合型リゾート)の中に
組み込むことも必要かもしれません。

つまり、ビジネスモデルはI・R(統合型
リゾート)経営者が考えるべきなのです。
入場料もカジノの面積も、
本来は経営者が考えなければならない
ことだと私は考えます。

マネーロンダリングをさせない、
ギャンブル依存症を生まないという
ルールは国がつくる。
それを前提として、
ビジネスモデルはI・R(統合型リゾート)
経営者が考えるべきです。
「入場料」や「面積」はビジネスモデルの
根幹を為す経営判断です。
国が決めるのではなく、
I・R(統合型リゾート)経営者の責任で
決められるべきだと思います。

以前メルマガでもご報告しましたが、
昨夏、マカオのI・R(統合型リゾート)
を視察しました。
日本でI・R(統合型リゾート)をやるならば、
ジャンケットをなくし、
徹底したマネーロンダリング対策をとる。
その上で、家族連れが安心して楽しめる、
日本ならではの新しいI・R(統合型リゾート)
をつくれるのではないか。
そんな希望を持ちました。

しかしこのままでは、
I・R(統合型リゾート)の経営に
手を挙げる事業者は出てこないのではないか。
出てきたとしても、シンガポールのように
「経営が成り立たないからジャンケットを
復活させる」、ということになりはしないか
と危惧しています。

「日本中でやろうよ」という声が
自民党から出ています。
日本中でパチンコ屋のようなカジノは
出来ます。
しかし、「ジャンケットなしでは日本中で
I・R(統合型リゾート)は出来ない」
と主張していきたいと思います。