「来年度の税収が59兆円。
バブル期並みの高水準に
なるという報道がありました。
そんなに国の未来を
心配しなくてもいいのでは…
と思いますが、間違っていますか?」
私がMCを務めるラジオ番組に、
リスナーの方からこんなメールを
もらいました。

確かに税収が27年ぶりの高水準になる
ことは明るいニュースです。
しかし歳出は、
過去最大規模の約97兆円台後半が
見込まれます。
収入よりも支出がとてつもなく多い状態に
変わりはありません。
少しばかりか税収が増えたからと言って、
財政収支がプラスに転じた訳ではないのです。

日経平均株価も上昇傾向にありますが、
私には違和感があります。
企業経営に30年以上携わってきたからこそ
の感覚です。
実体経済が成長しているならば、
株価は上がって然るべきです。
しかし実体経済は変わっているでしょうか?

現在の株高傾向は、
日銀による大規模な金融緩和政策によって、
実体のないマネーサプライが増えたが故の
株価上昇だと考えています。

実体経済成長の伴わない株価上昇は危険です。
今こそ必要なのは、「実体経済の成長」です。

今週月曜日に召集された第196回通常国会。
安倍首相の施政方針演説で幕を明けました。
中小・小規模事業者の生産性向上を
進めることで、賃金上昇、景気回復の波を、
全国津々浦々へと広げるとのこと。
具体的には、
キャリアアップ助成金の拡充。
3年間で100万者(社)にIT導入支援。
固定資産税をゼロに。
ものづくり補助金や持続化補助金。
事業承継税制を拡充して相続税全額猶予。
中小・小規模事業者の特許料半減。
などなど・・・

どれも全く意味がないとは言いませんが、
実体経済を下支えする中小・小規模事業者に
とって最も大切なことは、
「勝てるビジネスモデル」を確立する
ことです。
小手先の施策で生産性は向上しません。
それに対する支援は、脆弱なままです。
中小支援体制の抜本的な見直しについて、
具体例を示して言い続けていますが、
官僚は聞く耳を持ちません。

安倍首相は、財政健全化についても
言及されました。
この夏までに、
プライマリーバランス黒字化の達成時期と、
その裏付けとなる具体的な計画を
明確にするとのことです。

プライマリーバランス黒字化の達成時期は、
これまで何度も先延ばしされてきました。
私は自民党の財政金融部会の副部会長でも
あります。
経営者目線で、
プライマリーバランス黒字化の道筋を
しっかりと見極めたいと思っています。