日本再興戦略において、136のKPI(Key Performance Indicator 重要業績指標)が設定されています。
例えば経済産業・中小企業関係では、次のようなKPIが設定されています。

①開業率が廃業率を上回る状態にし、開業率・廃業率が米国・英国レベル(10%台)になることを目指す。
(2014年で開業率4.9%、廃業率で3.7%)
②2020年までに黒字中小企業・小規模事業者を70万社から140万社に増やす。
③今後5年間で新たに1万社の海外展開を実現する。

これらのKPIにはいくつかの問題があります。
ひとつは、アベノミクス・新三本の矢の「(2020年までに)GDP600兆円」という大目標とリンクしていないということです。136のKPIがすべて達成されても、GDP600兆円が達成するわけではありません。

さらに致命的な問題は、これらの多くが実はKPIではないということです。
KPIとは本来、目標を達成するために、その過程を監視するものです。
外食産業であれば、例えば客数や客単価、あるいはお客様満足度です。それらの推移を前年同月とも比較しながら、目標達成に対して悪い兆候が少しでも見えたら、早めに対策を講じるのです。
早めに対策を講じるためには、KPIの確認スパンは短ければ短いほど有効です。

しかし、例えば開業率や廃業率のKPIについて言えば、それらの実績の把握は一年スパンとなっており、しかも発表されるのは当該年度が終了して半年以上が経過してからです。
これでは、スピーディにPDCAを回せるわけがなく、結果として目標を達成できるはずもありません。

行政は、KPIとは何かをもっと勉強しなければなりません。
上場企業と同様に月次確認とはいかなくても、せめて四半期ごとに確認できるKPIを設定すべきです。

続き >> 行政監視委員会報告(3)誰が責任を取るのか?