先日このブログでもお知らせしたとおり、
BSフジ「PRIME NEWS」に出演した。
皆さんからの真摯なコメントを読み番組にのぞみ、
食の未来について忌憚のない意見を述べることができた。


ここでは、コメントにお答えしながら、
「食糧自給率について」「農業の未来について」
この点について、私の考えをお伝えしたい。
(皆さんからのコメントは一部省略、編集させていただきました。)


まず、「食糧自給率について」。
本多泰明さんからもご質問いただいているが、
私は食糧自給率についてはあげていくべきだと考えている。


1993年の米不足で、日本はタイから大量の米を緊急輸入した。
このためタイの米相場が崩壊、国内への供給が滞り、
当時の政権に大きなダメージを与えた。
海外輸出の是非が国会でも問われるまでに発展したのだ。


世界規模での食糧不足問題、環境問題、人口問題が顕在化している現代において、
食糧生産国が自国供給を守るために、輸出を制限する時期が必ず来る。
その時、日本の自給率40%という数字は脅威だ。


また、富める国が自国の都合で世界の食糧を買い漁ることが
世界の最大多数の幸せにつながるのかを考えたとき、
答えは間違いなくNOである。
食糧とは単に輸出入されるべきものではなく、人間の命をつなぐもの。
自分たちの分は自分たちで賄うという姿勢が必要なのではないだろうか。
富める国の責任とはなにか…この点からも食糧問題は考えるべきだと思う。


以上二つの観点から、自給率はあげていくべきだというのが私の持論だ。


■まついさん
生産調整をやめ、適正な流通で販売することで、農家の負担を減らし、
適正価格で消費者のもとに届くような仕組みがあれば、
日本の生産力で国内の重要を賄えるのではないか?


[渡邉美樹]
賄えると思います。
政府がつぎこむ数兆円の農林水産予算が有効に使われさえすれば、
日本の農業は再建できるでしょう。



■外林弘成さん
学校給食で米を食べるなど米の消費をあげてみては?


[渡邉美樹]
賛成です。いいですね。
今まではお米の値段が高いため、給食での使用が難しかった。
減反、生産調整をやめて、価格はを下げれば、
給食でも十分使うことができるようになると思います。



■knowhowdonorさん
工場で野菜をつくる研究をしていますが、
それで本当に食糧自給率をあげることができるでしょうか?


[渡邉美樹]
自国で野菜を作るのですから、間違いなく自給率はあがるでしょう。
ただ農業は環境問題とも密接にかかわっています。
単に食糧問題としてとらえるのではなく、
環境保持の視点からも農業を考える必要があるのではないでしょうか?
ワタミではその点から有機栽培にこだわり、
露地栽培、ハウス栽培のみを行っています。



■ぽんさん
コンビニ業界など利益優先の現場でものが躊躇なく捨てられ、
職場もぎすぎすしています。
こんな環境で食べ物が生産されていることにショックを受けました。
資源を大切にし、愛のある環境で食品を作られるのは不可能なんですか?


[渡邉美樹]
コンビニが賞味期限の切れた食品を廃棄し、
農家が形の悪い野菜を捨てる…
この現状は、最終的には国民の意思です。


国民がこのコンビニの対応に拒否感を示せば、
コンビニ側もシステムを再検討してくるでしょう。
国民が形の悪い野菜でも購入するようになれば、
農家も出荷してくるはずです。


生産や流通に携わる側と、消費者である国民の間に
こういった無言の契約が成立すれば、現状は変えられるのだと思います。



■shihiro3039さん
子どもたちの食育に関わっていくのはいかがですか?


[渡邉美樹]
食育というのは、二つあると思っています。
一つは、“食”が人間の健康、命を支えることに
どのようにかかわっているのかを学ぶ。
そして二つには、“食”そのものも命であるということを学ぶ。
命が自分の体のなかに入ってはじめて、自分は生きていける…
人間は謙虚にならなければなりません。


私が理事長を務める郁文館夢学園では、すでに積極的に取り組んでいます。
生徒は、自分たちでこの“食”という命を作り、育て、食べる…
この一連の流れのなかで、“食”そして命について
しっかり学んでほしいと思っています。