(続きです。)


■小澤真也さん

渡邉社長は、猛烈に忙しいと思います。
その中で経営を考え、お年寄りの幸せを考え、カンボジアの孤児のことを考え、
読みたい本をたくさん読んで、やりたいことに3日間身悶えして・・・
時間が足りませんよね。毎日22時間働けたとしても。
わたしは、年々時間に加速度がついて過ぎていってしまう恐怖を感じています。
1日の時間のやりくりと、人生の残りの時間についてのお考えをお聞かせ下さい。


[渡邉美樹]
一日の時間のやりくりについては、
ともかく意識した時間で埋め尽くすこと。

普通の人を見ていると、“なんとなく”という時間が、
人生の中で一番多くなってしまっている。

だから、全部意識する。
よく冗談でも言いますが、“ぼーっとする時間”も
意識して使えば24時間埋まります。
まずは、24時間埋めることが大切です。

そして、人生の残り時間についてですが、
これはもう神様が決めたこと。
“毎日毎日完全燃焼する”
“今日が終わったら明日死んでもいいんだ”
そんな気持ちで生きていくしかないのだと思います。



■tahichitahichiさん

今私は会社の就業規則を作っているのですが、
渡邉社長様が一番気を使ったところはどんな規則でしたでしょうか。
あと世界を見てまわっていて、
一番どの国の国民が、幸せそうに見えましたでしょうか。


[渡邉美樹]
私は、就業規則を会社と社員の向き合いのためのルールではなく、
“家族としての家のルール”として作りました。
家族の第一条件は“安心”だと思っています。

例えば社会保険ですが、法律では三か月休職すると
会社として解雇できます。
でも家族として考えれば、一年間は病気になっても大丈夫と
安心できるようにしたい。

安心して仕事が出来る。
安心して病気にもなれる。
仮に、家族を残して死んでいくことになっても
安心して死んでいける。

この“安心”を、規則の第一においています。


どの国の国民が一番幸せか。
これは難しいです。

ただ、カンボジアの本当に貧しい人ではなく、
普通に生活をしている人は不便だけれども不幸じゃない
と強く感じます。
いろいろ問題はあるが、ある程度の農地を持っていれば、
皆で協力し合って、生活を成り立たせることができる。
必要以上に求めない彼らの生活は見ていると幸せそうです。

また、日本も学ぶべきだと思いますが、
デンマークなど北欧諸国の安心して年を取れるシステムには
幸せを感じます。
国との間に信頼関係があること。
これが国民の幸せにつながるのだと思います。



■永塚大作さん

経営理念はないが毎年目標を定め事業を行う経営者と、
たとえ何年かかっても経営理念が決定するまで事業目標を定めず事業を行う経営者、
どちらの経営者が伸びるでしょうか?


[渡邉美樹]

まず、SAJへのご協力ありがとうございます。
ぜひよろしくお願いいたします。

ご質問についてですが、
「経営理念はないが」
「経営理念が決定するまで事業目標を定めずに」
というところがひっかかります。

何のためにこの会社があるのかというところが明確になっていないのに、
なぜ事業が出来るのでしょうか?

どちらも経営者としては伸びないでしょう。

経営理念があってはじめて、ビジョンが生まれ、
それを形にするために、毎年目標がある。
理念がなければ、なにも始まりません。

「社員さんやお客様から笑顔を頂くことに妥協することなく精進していきます。」
とありますが、例えばこういうことが経営理念なのではないでしょうか?



■ヨシヤスさん

2年前に母を病気で亡くし、その悲しみから
立ち直れず、現在もなお生きていくことを
心から前向きに捉えることが出来ず、悶々として
生きております。
その現状を何とか打開しようと、今まで夢と
いうものを自分なりに決め、それが達成できる
よう取り組むのですがすぐに思い悩み、
その夢は、
「本当に自分が心から望んでいることなのか?」と
自問自答してしまいます。
夢というより目標といった感じに近く、本能的な
喜びやワクワクする感情が宿りません。
その原因として母親の死に対する捉え方が
はっきりしていない事が原因ではないのかと思います。

渡邉社長はお母様を失った際に、当時どの様に
その事実を受け止め、その後の人生に希望を
見出したのでしょうか?
ご解答いただければ幸いです。


[渡邉美樹]
僕は、母親を亡くし
「人間は何のために生まれてきたのか」
「何のために仕事をするのか」
「何のために生きていくのか」
ということを考えて、自分の事業理念だとか、
価値観というものにぶつかりました。

ヨシヤスさんも、自分自身と向き合ういい機会だととらえ、
深く考えてみたらどうでしょうか。

今は、自分の価値観というものがぶれてしまったがゆえに
前向きになれないのではありませんか?。
そこは開き直ってとことん自分と向き合ってみるしかないと思います。