昼間、雨がぱらついていた林道も夕方近くになるとヒバリのさえずる声が聞こえてくる。
テクテク歩いていくと、少し陰った樹木の合間から、も○こり山が見えてきた。
すると友人の椎名ちゃんが
「ああ、あれが有名な も○こり山かぁ。噂ほどもっこりしてませんねー」
と言っていた。
「ひょっこり ひょうたん島ならもっとキレイなんだけどな」
と、もうひとりの友人の五右衛門が間髪入れずツッコミをいれた。
私は、「いったい、それのどこがツッコミなんだ？」と疑問に思いながら
たしかに、最近のも○こり山は環境破壊が進んで、「ずいぶん荒れ放題だなあ」と感傷に
浸っていたのだった。
すると、そこへ「も○こり山の住人だ」と言って、開かずの扉の家の扉を開けて出てきた
○カワ犬とうなぎ犬の雑種のポチは、尻尾を振りながら「ニャー」と鳴いて近づいてきた。
「面白い奴だなあ」と思った私は、ついつい「はいっチーズ！」と言って写真を撮ってしまった。
ふつう、なんのことわりもなくこういうことをすると、いつも怒られるのに、なぜかこのときは
怒られるどころか、ポチはニヤッと笑って余裕をかましている。
「変な犬だなあ。これじゃ番犬にもなりやしない」と思った私は、これまたついつい思いつきで、
『ラブ注入っ！！』と言わせてみたい衝動に駆られてしまっていた。
でも、そんなことを言わせると、また五右衛門と椎名ちゃんに叱られてしまうと思ったので
さすがの私も、そればかりは遠慮した。
それにしても、私たちは も○こり山の生態系に驚かされつつ、路面を走るチンチン電車に乗って
帰路に着いたのであった。
