最近観たレンタルDVDで“これはよかった”と人さまにお勧めできる映画があるので御紹介します。
『扉をたたく人』 原題“the Visitor”
監督・脚本:トム・マッカーシー
応援クチコミサイト
http://www.tobira-movie.jp/comment/
【ストーリー】
愛妻に先立たれ、心を閉ざして孤独に暮らしていた大学教授のウォルターは、久々にニューヨークにある別宅のアパートを訪れるが、そこにはいつの間にか見知らぬ移民の男女が暮らしていた。シリア出身の青年タレクは“ジャンべ”というアフリカ発祥の太鼓の奏者であり、ウォルターはタレクからジャンベを習い始め、2人は次第に心を通わせていくが……。名脇役のリチャード・ジェンキンスが初主演を務め、第81回アカデミー主演男優賞候補となった。【映画情報-映画のことならeiga.com】より…
◆MiXi WATTAN.のレビューより転載
自由を抑圧する国から逃げて来た先で、またしても自由な生活を脅かされ、善良な者が差別と偏見によって「テロリスト」呼ばわりされながら社会から排除されていく。これは、外国のことではない日本でも同じような問題が起こっていることに私は危惧する。
「不法滞在」とされた難民を入国管理局が身柄拘束し自由を奪う。その挙句に、身の危険が伴う本国送還だ。人間の尊厳まで踏みにじる“制度”の体質はどこの国でも同じなのか。
その反面、システムの中に浸りきって仕事や生活に溺れていた大学講師がジャンベという楽器を通して、異なる価値観・人間の本性に目覚めていく様は、まるで冷たい氷が溶けるように人の心を揺さぶるものがある。
シリア人青年の母親が入管収容所に面会する前、近くのレストランで店員から「どこの人?」と尋ねられ、とっさに「パレスチナ」と答えたシーンでは、そこはかとなく“シリア・パレスチナ・イスラエル”に絡む政治背景の問題を連想させる。まるで、映画『パレスチナの花嫁』を思い出させてくれる。巧い演出だ。