歌蝶光魚の世界〜蜷川実花展へ | 春はあけぼの 女は美学

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50過ぎた女が感じたこと、考えたことを書いてます

こんにちは。伏見美帆子です。



アラカンオンナが、
感じるままに綴るブログです。


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脳が溶ける。
溶けたそれは、
耳の穴から鼻の穴からそろそろと流れ出て
混ざりあいマーブル状になる。
そのマーブルは、
百万色を産み出していく…

なんだか、
そんなふうになっているように感じたのは、

こちらに行ってきたから。
こちらを体験してきたから。

蜷川実花展
Eternity in a Moment
瞬きの中の永遠
この展覧会は、
地上200mからの東京のこのスペースに合わせて
制作されているため、
その景色をもその光をも存分に作品に取り入れ
ここでしか観られない
体験できないアートなのだ。

昨年、
蜷川実花の写真展に行ったのだが
そういえばその時にも


アールデコ様式の、

旧浅川美也邸の庭園美術館に合わせ、

作品が全て溶け込んでいた。

作品だけだはなく、

毎回その空間にも意識を向けているのだろう。

その時のブログはこちら。



今回は、

全てが新作、しかもCGを一切使わず

全てを実際の被写体を使って

構成されているとのこと。

さらに、

写真展ではなく、

寝転んで鑑賞するインスタレーションなど、

まさに体験型のアートに触れられるとのこと、


友人に誘われてワクワクしながら行ってきた。


エレベーターで45階まで上がり、

会場に向かうと、

すでにもう蜷川実花氏の世界観が広がる。


咲き誇る花も

朽ちていく花も

留まることはない時間の中で

一瞬一瞬の美しさを放っている。

種子を作り、また再生していくその姿は

永遠の美…



11の作品ごとに、チームメンバーが異なり

それでも世界観は蜷川実花。


寝転んで見上げた映像には、

大都会の映像に合わせ、金魚が泳ぐ。

悠々と。

その大都会は、

まるでどこか知らない異郷のように見えるが

実は日本の街。

よく見ると昭和のネオン街のようにも見えるが

実は令和の現代の繁華街。

光が変わるだけでこんなにも変化するなんて…


いつも見慣れた風景を

自分たちが歩いている街を

金魚のように私たちは泳いでいる。

人工的な光の中で。

そしてその光は儚く、

でも、この世がある限り永遠に続く…


ふと、

方丈記の冒頭が浮かぶ。


行く川のながれは絶えずして、

しかも本の水にあらず。

よどみに浮ぶうたかたは、

かつ消えかつ結びて久しくとゞまることなし。

世の中にある人とすみかと、

またかくの如し。



生物は子孫を残し、再生していく。

しかし、

全てのものは無常である。

まるで川の流れの泡のように消えていく。

だからこそその美しさは人々の記憶に残る。


このインスタレーションは

なんだかとても強烈な光で

途中、

クラクラしたが横にならながら観ていたので

最後まで鑑賞できた。


氏の激しさをも

映像で極めているような…



しかし、

その後のインスタレーションは、

「100万色の桃源郷」

だった。


多くの人が足を止め、

写真や動画を撮って大混雑。


桃源郷だもの。

ここでずっと過ごしたいわよね…




たくさんの造花や蝶が会場を埋め尽くす。

リアルな花をも混ざり合い

それはあえて、朽ちていく姿を晒している。






光も闇も

咲き誇る花も朽ちていく花も

全てが美しく儚く、


永遠に続くように感じる桃源郷。


激しかったインスタレーションから

柔らかな桃源郷へ。


でも、

氏の作品には

生きとし生けるものを題材にしているにも関わらず、

癒しはない。

一時的に和んだりくつろいだり

そんなものはない。


リラックスとは程遠い。


その世界観に浸って、

瞬間的な驚きや

それぞれの感性が掻き乱されるもの。

エネルギーを与えてくれるもの。


花鳥風月ならぬ、


花蝶光魚の世界で。



あなたの感性も掻き乱されたかったら

ぜひ、虎の門へ。

2月25日まで。



一緒に行った友人が撮ってくれた。

ありがと♡。