フラジャイル~こわれもの -5ページ目

夏の恋7


遠い雷鳴、雨を駆け抜ける



第147回芥川賞受賞作『冥土めぐり』鹿島田真希

一言でいうと:
やたら観念的で、字幕の訳がアバウトすぎて意味がわからない、とても退屈なフランス映画みたいな。


女の愚痴ですな、これは。小説というよりも。

脳に電極を入れている夫・太一と、熱海らしき保養地への一泊二日の旅を、自分の母と弟への愚痴で綴ったお話。

祖父が築いた財産を食いつぶした母親と弟と、主人公・奈津子との変な関係(寄生関係?)を、主人公の視線でぐちゃぐちゃ書いているのには閉口した。

過去の贅沢な暮らし向きが懐かしいんだな、結局、主人公も。


読み進めるのが苦痛だったが、せっかく880円出して買った文藝春秋9月特別号だから、とにかく最後まで読んだ。

が、読後感はサイテー。

何の感動もない。
気分悪い。

読まない方がよかったかも。


また、クビを傾げる表現が何カ所かあった。

2月の浜辺で濡れるのもかまわず座るか? 寒ぅー!
へそを出して居眠りするか? 寒ぅー!


弟がキャバクラに姉を連れて行くか? 

さらに、キャバ嬢の前で姉を侮辱するか?

あり得んでしょ、そういうシチュエーションは。


その他、「?」と思う文章がいくつかあった。


選考委員の選評が、おおむねべた褒めなのが、さらに「?」。


村上龍がただ一人「ノー」だったが、その理由は「テイストとモチーフに対する違和感」と、言葉を濁している。

もっとはっきり言えばいいのに。


夏の恋6


青天の霹靂というが、稲妻が走ってももう驚かない