お隣さんへのヒアリング当日、建築現場へ行くと、約束の時間の20分前にも関わらず、マイホームの前に既に人が集まっていました。
予定では先にBESS富士の人達と合流して、それから隣家を訪問させていただく予定だったのですが、私が人だかりに近づいて挨拶をすると、そのまま話し合いが始まりました。
その場に集まっていたのは、隣家の方と、地元の市議会議員、町内副会長と、BESS富士から4名と、施主の私です。
話し合いの口火を切ったのは市議会議員で、要求はとにかく「河川に放流しろ」です。
隣家の方と、町内副会長についても同様で、その姿勢はかなり強固でした。
ある程度予想はしていましたが、正直なところ、その温度感は予想以上で、とても道路側溝への放流で妥協案を模索することができるとは思えませんでした。
BESS富士の報告では、隣家の方からは
「こちらの勘違いだった。申し訳なかった。」
と苦情を受けた後に謝罪があったということでしたが、隣家の方に確認すると
「そんなことは言っていない」
ということで、そこもこちら側の認識とは大きく異なっていました。
当初からBESS富士の報告には曖昧なところが多く、ずっと不安に感じていました。
その嫌な予感が、はっきりと的中したのです。
頭の中では、問題発覚時に受けたBESS富士の報告を反芻していました。
『既に解決している問題かもしれない』
『こちらは何も悪くない』
『そのまま工事を進めて問題ない』
『住み始めてから何か言われても、正しいのはこちらだから大丈夫』
どこが?
とてもじゃないけど、このまま工事を進めて住める様な状況ではありません。
私は『現状把握をしっかりして欲しい』と繰り返しBESS富士に求めて来たのに、ずっとたらい回しにされて、その結果がこれです。
薄々気づいてはいましたが、BESS富士は現状の深刻さを悟らせないまま工事を進め、あわよくば引き渡しを終えてフェードアウトしようとしていたのでしょう。
今回の話し合いにしても、私がこの場を持とうと動かなければ、実現しなかったのです。
これまでのBESS富士の一連の対応と言動からは、どれだけ考えてもその結論しか導き出せません。
近隣の方々は、
「基礎工事の前から「河川に放流するように」と求めていた」
「その後、何の説明もなく工事を進めていたので、とっくに河川へ放流しているものだと思った」
と言っていました。
ごもっともだと思います。
出来ないなら出来ないで、その情報をいち早く報告して相談するのが当然です。
BESS富士は、私が近隣住民の方々への説明を求める度に、
「私達ハウスメーカーが話をしても揉めるだけ」
「自分たちは悪くないので、それはできない」
「市から説明してもらう必要がある」
と言って逃げ続けていましたが、その対応こそが傷を大きくしたのは間違いありません。
結局、近隣住民の方々の意見を引き取ってこちらで対応を検討するということで、話し合いを終えました。
解散した後、私とBESS富士の面々で話し合いをしました。
私は、煮えたぎる怒りを精一杯の理性で抑え込みながら、BESS富士のこれまでの対応に対する不満をぶつけました。
問題を軽視して対応を怠ったこと。
まるで他人事で自発的に解決に動かなかったこと。
そもそも調査で分からなかったことは勿論ですが、全てをやり過ごすだけの対応でいたずらに時間を消費した結果、引き渡しまで時間がなくなってしまったことも、BESS富士に責任があることを強く訴えました。
BESS富士の面々は特に反論らしい反論もせず、視線を落として話を聞いているだけでした。
分かっています。
BESS富士は、表面上はしおらしく話を聞いているように見せて、ただやり過ごしているだけです。
言えば言うだけ、虚しくなって来ました。
私は、今回の話し合いを持ったことで、BESS富士が言うように
「このまま引き渡しをしても問題なし」
はあり得ない、という現実を共有したことを確認した上で、今後の対応を検討することを求めてその場を引き取りました。
数日後、担当営業を通して文書で回答が来ました。
正直、BESS富士の回答に期待はしていませんでした。
期待してはいなかったのですが、BESS富士の回答は予想以上に酷いものでした。
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