3年ぶりのお客さん。
先日突然電話があり、エーッ!!忘れていなかったんだ、とおどろいたSSくんの母。
彼は6年生の時から不登校ぎみで、紹介してくれた人がいて、学校へ行けない日は峠へ来ていた。
6年の終わり頃には、ほぼ毎日。
卒業文集の作文も、卒業制作も、ここで指導して完成させた。
私たちは、「ヘタレのS」と言って、その気の弱さを笑った。
気持ちわかるのだが、はたの誰も気にかけていないことを、ものすごく重くとれて、それも彼独特のとらえかたなものだから、本人にとっては大変なことだったのだろう。
ある日のお昼時、川向こうの大和市を、パトカーが巡回していた。
振り込めサギの電話が多数かかってきているので注意を促す放送を流して。
ふと見たらSくんが見当たらない。
食べかけの弁当かかえて、教室の隅にしゃがんでいた。
「だってボク義務教育なのに学校行ってないから、おまわりさんに見つかったらタイホされるんだ。」
義務教育が”おどし文句”になるなんて……。
担任の先生も、児童指導の先生も、峠を訪問してくれて、いろいろい気づかった指導をしてくれていたと思う。
でもSくんは、誰も感じない何かにおびえているような子だった。
お母さんは、気まぐれとも取れるような彼の言動に振り回されて、いつもビクビクしている感じだったのだが、今日3年ぶりの再開は、何かふっ切ったような明るさがあった。
Sくんは、なんとか中学卒業し、高校も苦難の末合格したという。
お母さんも少し強くなったのかもしれない。
どうしても、峠工房とつながっていたいから、会員になりますと申し込んでくれた。
高校無事続くといいのだけど。