良い器は一品モノではあるが・・・ | 料亭のムスコ 「日本料理」ことはじめ ~ ときどきクッキングパパ

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日本料理の作り方、マナー、考え方などを料亭の視点で共有するブログ。
裏話を含めた料理屋の日常、ムスコのクッキングパパぶりも息抜きに書いていきます。

 

from: ムスコ

 

東京の個人オフィスより、、、

 

 

料理屋では普通、器はセットで持っている。

50個とか100個とかいう単位であって、5個とか10個あっても宴会などで使えないからあまり意味がない。結婚式場などでは1000個単位ではないかと思う。

 

よくお客さんに、

 

「この器いいね。一つ譲ってくれないかな。」

 

といわれるのだが、女将であるウチのお袋の答えは決まって、

 

「いいですよ。その代わり1つといわず、100個全部買ってくださいよ。ウチは数が揃ってないと困るもんですから」

 

というものであった。


一方、こういうケースもある。

 

高いコース料理だったので、ある料理の器を手作りの一品モノでお客様ごとに別々のものにした。こちらは良かれと思ってのことだったけれど、お客さんからは、

 

「なんや、お前んとこの店は揃った器もないんか」

 

とお叱りを頂いてしまった。こちらの説明不足で失敗してしまった例といえる。


人数の多い宴席であれば、きちんと揃った器を使わないと見映えが悪い。

ただ、良い器は一品モノだ。あるいはそれほど大量には作れない。高い料理にしかお披露目されないので、結果的に物置に眠ってしまう。


「器は料理屋の財産やんか」


親父が開き直る。なんせ器屋(うつわや)で欲しい器をみたら、勝手に買ってきて後から母に事後承諾を求めるのだから、いつも母が大変そうであった。

 

私も含め、大体男というものは道具を揃えるのが好きだ。

折角高い器を買ったのだから、鑑賞用でもよいから、是非店に置いてほしいものだと思っている。

 

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