from: ムスコ
東京の個人オフィスより、、、
刺身の横に敷いてある大根の千切り。あれを「けん(=剣のようなもの)」という。
広い意味では「刺身のつま」の一つになる。
いつだったか、『将太の寿司』というマンガで、見習い将太君が親方から「けん」の作り方にも工夫がある、みたいなことを教わるシーンがあった(はず)。
そこでは、かつらむきで薄く剥いた大根に対して、繊維に垂直になるように(繊維を分断するように)切っていくと歯触りの良い、口に残らない美味しいけんになるんだぞ、ということであった。
これはその通りなのだが、これを「横けん」という。
ウチなどでも大根を横けんで切って、刺身の下に敷く「敷きづま」として使っている。
一方で、「縦けん」というものもある。
こっちは大根の繊維に対して並行に切っていく。そうすると、大根をびゅっと立てることができて、また景色が変わってくる。こちらは食べるというよりも、飾りとして楽しむもので、食べると繊維が口に残ってボソボソしてしまう。刺身の横や前において、「立てづま」として使う。
一口に「けん」といっても、大根に限らない。キュウリやニンジンを使ってもいいし、カボチャや茗荷、独活(うど)を使うこともある。それぞれ色合いが違ってきて、見た目も楽しい。
最近はスーパーでもビーっとけんを作る機会があって、大量生産できるみたいだけれども、これに限って言えば包丁仕事の方が美味しい気がする。なんせ極細でシャッキリ、シャクシャクしたけんは美味い。脂っこい刺身を食べた後の口直しに良い。
ちなみに大根はアクが出るので、打った(=切った)けんは水に晒してアクをとっておく。これでアクが抜けるとシャッキリして美味しいけんになる。ただ、水に入れっぱなしにしてしまうと、大根の旨みまで全部抜け出てしまうので、パリッとしたらすぐに引き上げて冷蔵庫に保管しなくてはいけない。
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