自作の集印帳

 

お店で集印帳を販売していますとお客様がご自分でお作りになられた
集印帳をご持参され見せていただくことが多々あります。
出来具合は様々でプロ肌質のものもあれば何これ?と笑えるものまで
様々ですが総じていえることは”あくまで素人仕事”といえます。


お見せいただく皆さまは殆どの方が出来具合いの”感想”を聞きたいらしいので

 

そこは通り一遍、


「なかなかよくお出来ですね、素晴らしいと思いますよ。」


とお答えしています。


お世辞ではなくその創作意欲に素直に感心させられるからです。
でも時々勘違いなされる方もいます。


「こんなもの作っているんですけど、お宅の店頭で置いてくれませんか?」
「値付けはいくらでもいいですから委託販売してくれないでしょうか?」

 

などなど、年に数件はありますでしょうか。
そういうときは即お断りするわけにもいきませんので、厳密にその商材を
精査させていただきます。複数冊見せて頂くわけです。
ここでプロの仕事と素人の差を知っていただくことになります。
例えば自作の帳面であればご自身でお決めになられた大きさ(サイズ)と
いうものがあろうかと思います、それがその方の規格であるならば、
当然複数冊すべからく寸分たがわず同じサイズでなければ製品といえません。
冊ごとに10分の1ミリから数ミリずれいたり綴じ込み枚数にバラつきがあったり
酷いときは紙質が違っていたりと、中には紙の滲み止め(どうさ)の有無も知らず
に製作されている方もいたりして、中々お金を頂ける品ようなレベルの物が無いのも

現状です。


「お金を払って買ったユーザーからもしもクレームがあった場合、対処は出来ますか?」


こう聞くと曇ったお顔になられ話はなくなることが殆どです。


意地悪して申し上げているわけではなく、品物として販売するからにはそれなりの覚悟と投資
なくして利益はとれません、趣味ではなく、”商い”なのです。


ということを暗黙の内に理解してもらえればという思いなのです。


「たとえばこれ、2週間で200冊納品可能ですか?」


お読みいただいている皆さまはもうお分かりかと思いますが、そこまで作ったら他の仕事が
出来ないので趣味とは言えずプロになります。本業捨ててもやるんだろうか?


1冊せいぜい上代(店頭販売価格)900~1100円のもの、納品価格は半値程度と計算したら
ひと月400冊できたとしても18万円、資材コストを考えるとそのまた半分9万円の収入、割に合わないと思います。


下の画像はたまたま私が手慰みで作成した集印帳(小)です、外張は友禅(シルク)着物の端布を使いました。

2冊の製作に4時間かかりました、1冊900円としても時給¥450円です(笑)
原価さえ含んでいませんので、どっかでアルバイトしたほうがよっぽどましですね。
柄は着物柄では京友禅伝統の”宝づくし”ですが製作手際の悪さに”ゴミづくし”にしか見えません。
今日はそんな製造サイドの与太話でした。


かしこ