■五代十国時代(907~960)門閥貴族は没落、武人(武断)政治の時代
五代(華北で興亡した五王朝)
都の開封は、黄河と大運河の結節点
十国(南で、藩鎮による国家建設と興亡)
荘園を基盤とした貴族は没落し、新興地主層が成長
北方系遊牧民…ウイグルの衰退に代わり、モンゴル系契丹が進出
五代の王朝
国名 建国者 都 関連事項
後梁 朱全忠 汴州(開封) 武断政治はじまる
後唐 洛陽
後晋 石敬瑭 汴州(開封) 燕雲十六州を契丹に割譲
後漢 汴州(開封)
後周 汴州(開封) 世宗が廃仏を行う
■北宋(960~1127)…都:開封 (繁栄の様子は清明上河図(張択端)にあり)
建国者:趙匡胤(高祖)
2代目 太宗が中国を統一
特色:文治主義による君主独裁体制(門下省を廃止し、中書門下省とする)
(①節度使の削減…欠員に文官をあてる)
(②殿試の創始…科挙の最終試験。皇帝自身が面接。科挙官僚中心に。)
周辺民族との抗争:燕雲十六州をめぐって遼(契丹族)と抗争
→1004年:澶淵の盟(北宋と遼…多額の歳賜が北宋から遼へ)
北宋の文治主義・悪循環の流れ
文治主義(軍事力低下)←武断政治
(戦わず、同盟)
1004年:澶淵の盟(北宋と遼…多額の歳賜が北宋から遼へ)
1044年:慶暦の和約(北宋と西夏…多額の歳賜が北宋から西夏へ)宋を主、西夏を臣とする講和条約。宋は西夏に 毎年銀5万両、絹13万匹、茶2万斤を贈る
(財政難)財政を立て直し、富国強兵を目指すべき状況
王安石の新法 神宗が採用(中小農民、商工業者保護)
司馬光らの旧法党(官僚・大地主・豪商ら)が既得権益を脅かされて対立
(富国策)
①青苗法=農民を救済…低金利で金銭や穀物を貸し付ける
②均輸法=物価の調整…特産物を不足地へ転売する
③市易法=中小商人を救済…低利貸し付け
④募役法=農民没落を防止…免役銭を徴収し、兵役については希望者から募集
(強兵策)
①保甲策=民兵訓練、軍事力強化…農閑期におこなう
②保馬策=軍馬飼育・確保…民間で飼育し、戦時に挑発する
→地主や大商人、特権的な官僚は既得権益を損なうため新法に反対
■新興地主層の台頭…宋代の支配階級
①唐の滅亡と五代十国時代の混乱で、従来の門閥貴族社会は崩壊。宗では地主層が台頭した。こうした新興地主層を形勢戸と呼ぶ。地主は佃戸(隷属的な小作人)に耕作させた。
②宋では文治主義のため、科挙官僚を重要した。科挙合格者は地主層出身者が多かった。また、殿試により官僚と皇帝の結びつきが強まり、君主独裁体制を確立。
→官戸(科挙合格者=官僚を出した家)の多くは形勢戸だった。
③元になっても佃戸制を容認し、大土地所有制が進展。
〔北宋の滅亡〕:1126~27年
靖康の変(上皇の徽宗・皇帝の欽宗が金の捕虜となる)
徽宗は風流天子とも呼ばれる
■南宋(1127~1279)
…女真族の金が解封に侵入、金は華北を占領
建国:高宗
都:臨安(現在の杭州)
1141年:和平派の秦檜により、主戦派の岳飛獄死
1142年:紹興の和議(国境設定:淮河~大散関)金に臣下の礼をとる
1276年:開封がモンゴル軍に占領される
1279年:厓山の戦い(VS元のフビライ)で滅亡
東アジアの勢力交代
■朝鮮■
918年新羅に代わり、高麗が成立。王建が建国
首都:開城
金属活字による高麗版大蔵経の刊行
高麗青磁がつくられる
■雲南■
南詔に代わり、937年
大理を建国。タイ人。
■ベトナム■
長い中国による支配が終わり、李朝大越国の建国
■日本■
894年遣唐使の廃止。かな文字など国風文化成立。11c『源氏物語』『枕草子』
11世紀末院政→1167年平清盛太政大臣へ。平氏政権のもとで日宋貿易
宋銭や陶磁器を日本へ。日本からは日本刀などが輸出。広州、泉州、明州(寧波)などの港が繁栄、市舶司がおかれる。12世紀末鎌倉幕府の成立
■宋代の社会
農業
江南…ヴェトナム(チャンパー)から占城稲
(日照りに強い早稲米、ふつう120日で成熟するのが50日で済む、稲の二期作が実現)が伝わり、長江下
域が穀倉地帯として発展。
→「江浙(蘇湖)熟すれば天下足る」といわれ(江蘇と浙江省)
華北…商品作物(茶・桑=絹など)の栽培が進む。商品作物とは輸出用に生産する作物
商工業
草市・鎮と呼ばれる地方商工業都市の発達
→景徳鎮…陶磁器製造で発展した江西省の都市(白磁、青磁)
同業組合の形成…行(商人の組合)作(手工業の同業組合)
商工業の活発化から銅銭が不足し、紙幣が発行される
宋:交子(北宋で発行世界初の紙幣)会子(南宋)
海上貿易(イスラーム商人の来航)が活発化
→市舶司(海上交易管理の役所)整備…広州・泉州・明州など
1120年 方臘の乱 『水滸伝』の背景になった農民反乱