関東大学春季大会 5月19日 対東海大 愛知・パロマ瑞穂ラグビー場
小雨がちらつく天候の中、愛知・パロマ瑞穂ラグビー場で早大の関東大学春季大会(春季大会)2戦目が開催された。対戦相手は東海大。リーグ戦5連覇を誇る強豪に対して、『BEAT UP』を体現できるか注目の集まる一戦だ。試合はスタート直後、早大の先制トライで動き出す。その後連続失点を許すも、早大がテンポの速い攻撃で反撃。40ー12と点差をつけて前半を終える。後半に入ると東海大のディフェンスに苦しめられ流れに乗り切れない早大。それでも東海大の追い上げを抑えながら着実に得点を重ね、59ー26で勝利を収めた。
ゲインラインを突破するHO佐藤健次主将(スポ4=神奈川・桐蔭学園)
早大のキックオフで試合は開始されると、その直後にゲームは動く。東海大が脱出を試みたキックをSO野中健吾(スポ3=東海大大阪仰星)が確保、今試合でスタメンデビューを果たしたFB池本晴人(社2=東京・早実)がボールを受け取りカウンターを仕掛ける。センターライン付近の左サイドでポイントを作ると、早いテンポで逆サイドに展開し、大外で待つWTB鈴木寛大(スポ2=岡山・倉敷)に。今シーズン好調のトライゲッターがライン際を駆け抜け、先制トライを挙げた。しかし流れを掴み敵陣に攻め込む早大に対し、東海大の力強いディフェンスが応戦。攻守が入れ替わる一瞬の隙をつかれゲームを振り出しに戻されてしまう。さらに早大は自陣での守備が続き、粘り強くタックルに入るも崩され連続失点、リードを奪われる。それでも自分たちのペースを崩さなかった早大は、これ以降相手に得点を与えない。攻撃でもSO野中を中心に早大らしいテンポの速いアタックを展開し、前に圧力をかけてくる東海大のディフェンスをハンドリングスキルでかわしていく。自分たちのラグビーで徐々にリズムを取り戻し得点を重ねた。24分には敵陣ゴール前でのスクラムをフォワードが圧倒。東海大のペナルティーを誘い、認定トライを獲得した。終盤は早大のペースで試合を進め東海大に攻撃の隙を与えず、5連続トライで突き放し、40ー12と差をつけて前半を折り返した。
ライン際を駆け上がるWTB鈴木
後半、勢いに乗り勝負を決めたい早大に、東海大のディフェンスが強度を上げて襲いかかる。早大は流れを掴みそこね、ゲームは硬直状態に突入。好調だったスクラムでもペナルティーを奪われると、10分には自陣ゴール前のラインアウトからモールを組まれ、最後はショートサイドからインゴールを割られてしまった。東海大の追い上げムードが続く中、粘り強い守備を続けチャンスを伺う早大。反撃に転じたのは後半25分、自陣深くでのディフェンスから相手のミスボールにCTB福島秀法(スポ3=福岡・修猷館)が反応。すかさず裏のスペースへ蹴りこむと、戻りきれない東海大の選手に対して早大のチェイスがプレッシャーをかけボールを獲得。早大の武器であるテンポの速さに東海大のディフェンスは追いつけず、走り込んだPR新井瑛大(教2=大阪桐蔭)から最後はHO佐藤がボールを受け取りゴール中央にグランディングした。小さなチャンスをものにし、スピードのある攻撃で一気に東海大の流れを断ち切った早大。その後も2トライを挙げ、粘る東海大を突き放し、最終スコア59ー26で春季大会2戦目を白星で終えた。
力強いボールキャリーを見せるCTB福島
東海大の強力なディフェンスに対して、テンポの速さと展開力を駆使し、巧みな攻撃で計9トライを挙げる活躍を見せた早大。進化した攻撃力の高さを示すゲームになった。一方で、春シーズンに意識して取り組んできたディフェンスに関して、「4トライ取られたという事実は変わらない」(佐藤)と厳しく振り返る佐藤主将。続く3回戦で迎えるのは、大学ラグビー随一の攻撃力を誇る明大だ。『重戦車』を迎え撃つため、守備力の向上は大きな課題となるだろう。春の早明戦を次節に控え、ついに山場を迎える春季大会。チーム佐藤はさらなる躍進を見せることができるのか、今後の動向からも目が離せない。
(記事 西川龍佑、写真 清水浬央)
コメント(※一部記者会見抜粋)
大田尾竜彦監督(平 16 人卒=佐賀工)
ーー今日の振り返りをお願いします
今日の試合に関して、ゲームテーマがアティチュードというところで、試合中の姿勢だったりとか、そういった部分を本人たちも意識して臨んでくれていました。東海大さんは今までに比べてレベルもかなり高くなるので、1人1人のコンタクトで苦労した部分はあると思いますが、これはやはり勝ち前提でゲームが試合を組み立てるより、しっかりと相手が強いということを前提にもう少しゲームを組み立てるということも必要だなと思いました。とはいえ、リーグ戦を5連覇をしている相手に対して、しっかり勝ち切ったことは素晴らしいことだと思います。
ーーセットプレーに関して前後半でかなり違いが出たと思いますが、その点どのように感じていらっしゃいますか
メンバー的な部分もあるので一概には言えないですが、東海大さんがモールで2トライしていて。それもスクラムからでしたし、やはりスクラムという部分は強調してトレーニングしてきましたので、もう一度見直しながら相手の強みを抑えるような戦い方をしないといけないと思います。
ーーバックスに関して、今日は展開力とテンポの早いアタックが見らましたが、それはチームとして意識されていましたか
野中を今回10番に入れてるので、彼の展開力というものにはすごく期待していました。そのあたりは非常に期待通りかなと思います。あとは点を取るところ。走り切るとか、トライを取り切るところがまだまだ課題があるとは思いますし、そこについては下級生ですごく勢いのある選手たちもいるので、その選手たちがどんどん今出ている選手たちを突き上げてくればまた変わるのかなと思います。
HO佐藤健次主将(スポ4=神奈川・桐蔭学園)
ーー今日の振り返りをお願いします
まずリーグ戦5連覇してる東海大学さんとやるにあたって、 自分たちの態度、姿勢のところをフォーカスしてやろうっていうのを話していました。誰かがラインブレイクした後のサポートであったり、ラインブレイクされた後のバッキングだったり、そういうゲームに関わっていない選手たちの動きにこだわっていたのですが、相手のラインブレイクに帰れてなかったり、自分たちがラインブレイクした時の追い上げが全然まだまだ足りないというところがあります。スコアとしては離れて良いゲームのようにも見えますが、4トライ取られたという事実は変わらないので、ディフェンスのところをもう1回見直して、アタックも軽いロストが多かったので、そこを修正して次戦に向けて頑張りたいなと思います。
ーースクラムの感触としてはいかがでしたか
杉本(安伊朗、スポ2=東京・国学院久我山)が入って最初の1、2本はうまくグラウンドとアジャストせずスリップして、2本ペナルティーを取られるという場面はありました。ですが、その後杉本が修正して、相手ボールのスクラムをターンオーバーしましたし、相手人数が少なかったとはいえ、前半にペナルティートライをとったというところで。本当に春から積み上げてきたスクラムが少しずつ形になってきてるのかなと思うのですが、もっと質を高めて、帝京大、京産大、天理大、明治大と強いフォワードに対しても、これができるようにもっと精度を上げていきたいと思います。
ーーラインアウト、特にモールについての振り返りをお願いします
モールディフェンスで僕たちがやることが明確になっていなくて、そこでのロストからスコアされたシーンがありました。そこは練習中からミスが出ていた部分だったので、キャプテンとしてもっと試合前に詰めとくべきだったなと思います。モールアタックでもスコアできず止められてしまって、ディフェンスもスコアされてといういい課題が見えたと思って、これからまた明治戦に向けて修正していきたいなと思います。
ーー東海大のディフェンスについてはどんな印象ですか
前半最初はすごく僕のところが狙われて、2人ぐらいが僕に詰めてきてターンオーバーされてしまうというシーンが多かったのですが、後半は徐々にオプションを使い出したりして、 相手のディフェンスにアジャストできたので、そこは僕的には良かったのかなと思います。ですが、少し相手を躱しに行ってしまってたところがあったので、そこは個人としての修正点です。チームとしては、相手が出てくるのに対してうまく自分たちの深さを保ちながらアウトサイドのスペースをすごい攻略できたし、2つのポットがうまくリンクして。アタックのテーマが今回リンクだったのですが、うまくリンクしてラインブレイクというシーンも多かったので、そこは相手のディフェンスに対応できたのかなと思います。
LO栗田文介(スポ3=愛知・千種)
ーー地元開催でしたが、特別な意気込みはありましたか
そうですね。普段は来られない家族、祖父母や友人たちが見に来てくれたので気合いが入っていました。
ーー本日の個人のテーマを教えてください
東海大さんは体の大きいフォワードが武器なので、そこに負けないように一対一のコリジョンにフォーカスしました。
ーー個人的なプレーを振り返っていかがですか
タックルで刺されるところもあったのですが、返される部分で東海大さんの1人目のキャリーが中々倒れずに後ろにかえるという場面がいくつかあったので、そこは次戦に向けて修正していければと思います。
ーー突破力が売りの栗田選手ですが、東海大のディフェンスの感触はいかがですか
今回も流通経大戦の時のようにオプションを使いたかったのですが、1人目が思ったよりもあげてきて、そこで食い込まれてという部分がありました。そこは次回修正したいです。
ーー今おっしゃったことの他に次戦に向けた課題は見つかりましたか
今季のテーマであるディフェンスの部分で4トライ取られたということは絶対修正しなければいけないです。ディフェンスの部分で多くの課題が見つかったのでトレーニングしていきたいと思います。
ーー今後の意気込みをお願いします
春季大会はあと3戦ありますが、自分の武器である激しいコンタクトを前面に出してアグレッシブにやりたいと思います。
FB池本晴人(社2=東京・早実)
ーーAチームで初めてのスタメンでしたが、どういった意気込みで臨みましたか
練習でしてきたことしか出ないと監督に言われていて。色々なことはできないことは分かっていたので、自分のできる強いキャリーだったり、 シンプルなことをやろうと思って挑みました。
ーー個人的なプレーを振り返っていかがですか
微妙でした。緊張も少しあって。自分はもっとアグレッシブにボール持って走るのが強みだと思うのですが、そこがあまり出せなかったので次回頑張ります。
ーーバックス全体としては速いテンポと展開力がかなり見えましたが、この辺りについてバックスとして何か取り組んでいたことはありますか
早稲田の全体のラグビーとして順目に速いアタックをしていこうという中で、バックス対バックスの場面でもどんどんその縦に強いプレーをすることを心がけてやってました。
ーーバックスとして次戦に向けた課題は何か見つかりましたか
外でのラインブレイク数をもっと増やしていくことと、誰かが1人抜けた後のスピードチェンジで、トライを取り切るところまで持っていくことが課題だと思いました。
ーー今後の意気込みをお願いします
自分は1試合1試合がセレクションだと思っているので。毎試合、自分の強みを出して積極的にプレーしていきたいと思います。
メンバー
背番号 | 名前 | 学部学年 | 出身校 |
1 | 山口湧太郎 | スポ3 | 神奈川・桐蔭学園 |
2 | 佐藤健次 | スポ4 | 神奈川・桐蔭学園 |
3 | 亀山昇太郎 | スポ4 | 茨城・茗溪学園 |
4 | 西浦剛臣 | 社4 |
ニュージーランド・ハミルトン・ボーイズ・ハイスクール |
5 | 栗田文介 | スポ3 | 愛知・千種 |
6 | 田中勇成 | 教3 | 東京・早実 |
7 | 粟飯原謙 | スポ3 | 神奈川・桐蔭学園 |
8 | 城央祐 | スポ1 | 神奈川・桐蔭学園 |
9 | 細矢聖樹 | スポ4 | 国学院栃木 |
10 | 野中健吾 | スポ3 | 東海大大阪仰星 |
11 | 杉野駿太 | 政経4 | 東京・早大学院 |
12 | 黒川和音 | 人3 | 茨城・茗渓学園 |
13 | 福島秀法 | スポ3 | 福岡・修猷館 |
14 | 鈴木寛大 | スポ2 | 岡山・倉敷 |
15 | 池本晴人 | 社2 | 東京・早実 |
16 | 佐々木柊 | スポ4 | 東京・本郷 |
17 | 杉本安伊朗 | スポ2 | 東京・国学院久我山 |
18 | 新井瑛大 | 教2 | 大阪桐蔭 |
19 | 鈴木風詩 | 社4 | 国学院栃木 |
20 | 若松泰佑 | 文構4 | 東京・早実 |
21 | 糸瀬真周 | スポ3 | 福岡・修猷館 |
22 | 中島潤一郎 | 教3 | 神奈川・桐蔭学園 |
23 | 三浦哲 | 文構4 | 東京・早実 |
24 | 萩原武大 | スポ3 | 茨城・茗渓学園 |
25 | 金子礼人 | 法3 | 福岡・西南学院 |
26 | 仲山倫平 | 法3 |
ニュージーランド・ウェリントン・カレッジ |