またしても決勝で散り、最後の新人戦は無念の準優勝 | 早スポオフィシャルブログ

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関東学生ユーストーナメント(あすなろカップ) 5月3・4日 東京・江戸川区臨海球技場 

 

 新人戦あすなろカップ。それは、新人戦サマーステージ(サマー)、新人戦ウィンターステージ(ウィンター)を戦い抜いた1年生が、2年生となって戦う集大成とも言える大会だ。MF井原幸輝学年キャプテン(商2=東京・早大学院)が率いる「井原組」は、サマーで早大の4連覇を達成したものの、ウィンターは決勝で敗退。あと一歩で届かなかった頂点へ、悔しさを胸に最後の新人戦に臨んだ。初日の予選は無失点で2連勝し、危なげなく予選を突破。2日目の決勝トーナメントも順調に勝ち進んで雪辱へと期待が高まったが、決勝で2点リードから無念の逆転負け。またしても準優勝に膝をつき、涙で大会を終えることとなった。

 

右手を突き上げるMF井原(左)

 

 予選リーグは3チームの総当たりで行われた。試合時間は、本来の公式戦より大幅に短い10分ハーフ。1点の攻防が重要であり、緊張感のある試合が繰り広げられる。初戦の相手は明大。早大はAT吉田宗一郎(教2=東京・早実)のシュートで早々に先制点を奪うと、パスミスはありながらも攻撃し続けた。続けて、MF山田伊織(国教2=早稲田佐賀)が横からミドルシュートを放って追加点。終盤には相手の反撃に押される場面もあったものの、このまま2-0で試合終了。早大と同じく関東学生リーグ戦1部の明大相手に勝利を飾って波に乗ると、2試合目の筑波大・埼玉大・東京理科大戦でも勢いのままに得点を積み重ねた。MF内田玲央(商2=東京・国学院久我山)の速攻で1点を先取した後は、ロングランを見せたMF井原、初戦に続いてMF山田が追加点。そして、再びMF内田がステップで敵をかわして4点目を決めて勝負あり。予選の2試合を通じて相手のペースでシュートを打たせなかったディフェンス陣の奮闘もあり、無失点で決勝トーナメント進出を決めた。

 

ボールを保持するAT吉田

 

 翌日の決勝トーナメントは、準々決勝から行われた。ウィンターの決勝で敗れた武蔵大・明星大との再戦で、優勝へと勢いをつけるにはもってこいの相手だ。試合は、MF山田がゴール裏から走り込んで放つ得意のシュートで先制するも、その後は厳しい展開に。フェイスオフでなかなかボールを保持できず、グラウンドボールを取り切れないなど苦戦を強いられた。そして、相手のシュートにディフェンス陣が反応できず、今大会初失点でついに同点に。相手の攻撃が続いて嫌な流れが漂うも、雪辱を果たすためにはここで負けるわけにはいかない。MF三戸優也(商2=東京・早実)がゴール付近まで攻め込み、間合いを縫ってシュートを放つと、これが勝ち越し弾に。少ないチャンスをものにして、2-1で4強入りを決めた。続く準決勝は東大との一戦。勝利の勢いそのままに、早大は序盤から得点を積み重ねていった。MF藤佳諒(法2=大阪明星)、AT吉田で立て続けに2点を先取すると、後半に入っても攻撃の手を緩めない。MF山田がまたも横から、MF井原は見事に相手をかわしてシュート。決して隙は多くない東大の守備陣から4点をもぎ取った。終盤には2点を奪われて詰め寄られるも、早大はあくまで攻めの姿勢を崩さず。4-2と勝ち切り、盤石な試合運びで決勝へと駒を進めた。

 

シュートを放つMF藤

 

 ついに迎えた決勝の舞台。会場が張り詰めた空気になる中、ウィンターと同じことは繰り返すまいという気迫のこもったプレーで、獨協大・明学大を圧倒していった。MF山田が果敢にゴールを狙うも、得点には至らず。両チームの声援がより一層大きくなっていった。ここで、ボールを保持したMF藤が華麗なステップで相手ディフェンスを何人もかわすと、振り抜いた鋭いシュートがネットを揺らす。スピード感あふれる素晴らしいプレーに、早大サイドは大盛り上がりを見せた。会場の空気を味方につけた早大は、なおも攻撃を続ける。MF三戸がゴール低めへ突き刺して2点のリードを奪うと、悲願の優勝は目前かと思われた。しかし、後半に入ると試合の流れが変わる。相手のロングシュートに反応しきれずに1点を返されると、会場の空気は一変。相手の声援に飲み込まれるように、早大がボールを保持できなくなってしまう。ディフェンスも粘りを見せたが、自陣に攻め込まれてついには同点に。土壇場で2-2のタイに持ち込まれ、試合はサドンビクトリーの延長戦へと突入した。先に1点を取った方が優勝という緊張感あふれる状況に、会場にいる全員が固唾(かたず)をのんで見守った。早大は盛り上がる相手の流れを止めるべく、フェイスオフでボールを勝ち取って食らいついたが、前線へと繋げられず相手ボールに。そして、懐まで攻め入られると、裏から回り込んで放たれたシュートは無情にもゴールへと吸い込まれた。試合終了。またもあと一歩及ばなかった早大の選手たちは、こみ上げる涙を抑えきれなかった。

 

敗戦に肩を落とす早大の選手たち(奥)

 

 こうして準優勝で幕を下ろしたあすなろカップ。同期で行われる公式戦はこれで最後となり、今後はAチームで日本一を目指す戦いが始まる。優勝という最高の結果で締めくくることはできなかったが、選手たちは前を向いている。「この悔しさを分かるのは2大会連続決勝で負けている自分たちだけ」とはMF井原。悔しい思いを無駄にしないためにも、これから訪れるチャンスを今度こそつかみ取ってくれるだろう。最高学年となる2年後とは言わず、今年の夏からグラウンドで暴れまわる姿に期待だ。

 

(記事 西村侑也 写真 富澤奈央、田島凜星、芦刈れい、西本和宏、長屋咲希、林田怜空)

 

◆コメント

MF井原幸輝(商2=東京・早大学院)

――あすなろカップ全体を振り返っていかがでしたか

 サマー、ウィンターは別のコーチ陣でやって、ウィンターも決勝までいけたのですが、課題として、準決勝をサドンビクトリーで勝って、いい感じで盛り上がってしまって隙を見せて負けたということがあって。自分としてはコーチ陣を胴上げできなかったことが心残りで、今回は奥さん(奥崚1年生担当コーチ)という別のコーチと今年の学生コーチを中心に、練習時間だけはどの大学にも負けないように3カ月前から、もちろん部員の中でもいろいろな意見はあったのですが、そこはお願いしてアルバイトも制限して、チームの練習をやった後、夜に自分たちだけで練習したりとか、隙を作らないチームというのを目標にして。予選も2試合とも勝って、今日もここまで勝ち切って、決勝前も試合中も本当に隙を見せてこなかったつもりですし、ここでもう1回勝って、冬に胴上げできなかったコーチたちを胴上げすることが目標だったのですが、それができなくてやっぱり悔しいです。これでこの代の新人戦は終わるのですが、さっき話したようにもう1回切り替えて、今年の4年生たちのためにどういう戦力になれるかということをおのおのが考えて、今年また日本一になって、2年後に自分たちの代が来た時にもう1度頂点に立って、最後は笑って終えたいなと思います。

 

――あすなろカップを通して、現2年生のこの代が成長したところはありますか

 去年は学生コーチ、社会人コーチの方々を中心に動いていたのですが、今回はコーチは本当にサポートだけで、もう自分たち中心にメニューも考えて、試合前の雰囲気づくりも自分たちだけでやって、去年よりも一人一人の自覚が出て、みんなから声が出ますし、試合中の声も全員が出してくれたので、そこは本当に成長だと思います。

 

――これからの残りのラクロス部での活動に向けて、意気込みや目標をお願いします

 直近で言うと早慶戦があるので、応援であったりチームとしてできることをおのおのがして、フィールドに立つ選手がいるかもしれないのですが、そこで必ず勝ち切るということと、2年後自分たちの代になった時にチーム一丸となって、このチームだけではなくて後輩も入ってくるのですが、この悔しさを分かるのは2大会連続決勝で負けている自分たちだけなので、この悔しさを糧に必ず日本一を取ります。