関東学生春季リーグ 4月21日 神奈川・東海大学湘南キャンパス体育館
前日に快勝した早大のこの日の対戦相手は、春季リーグこれまで3戦全勝の筑波大。筑波大相手に早大は長らく白星がないが、上位進出のために負けるわけにはいかない。選手それぞれが強い気持ちで一戦に臨んだ。試合前半から次々と得点を決め8点リードで前半を終える。だが後半10分ほどで8失点となり逆転を許し、残り1分で1点ビハインドという展開に。しかし土壇場で同点に追いつくと終了間際、ディフェンスの際にボールを奪いそのままゴール。1点差での劇的勝利となった。
試合終了後、喜びを爆発させる選手たち
昨日と同じスタメンで臨んだ早大は開始40秒、左サイドの里村采音(商2=岩手・不来方)が先制。ここまでの春季リーグ3試合を振り返った里村は「決め切れないことが多くて、チームにも迷惑をかけていた」と語っていたが、この日の里村は一味違った。前半だけで高難易度のサイドシュートで6点を奪い、チームを勢いづける。前半15分ほどまでは互角の争いを繰り広げたが、早大の絶好調オフェンスと相手ディフェンスの乱れによって流れは完全に早大へ。その後も山田梨央(スポ3=千葉・昭和学院)のパスから鶴田文乃(スポ4=山梨・日川)のサイドシュート、GK作本夕莉(スポ2=福岡・明光学園)のロングシュートなどによって点数を重ねる。強豪筑波大を圧倒し21ー13で前半を終えた。
7メートルスローを決める木村
このまま勝利へ突き進みたい後半。しかし、筑波大が後半怒涛(どとう)の追い上げを見せる。後半開始以降7連続得点を許し、8点差あったスコアも後半10分で22ー22に。このまま流れは筑波大へ傾くかと思われたが、前日の順大戦で圧倒的な強さを見せた山野紗由(スポ3=北海道・釧路江南)や安定したシュート率を誇る井橋萌奈(スポ2=東京・白梅学園)らが徐々に奮起。さらに、GK作本と堀内雪羽(スポ1=千葉・昭和学院)の2人が相手の強烈なシュートを体を張って次々と止めてみせる。そして着実に決めたい7メートルスローの場面では、木村百花主将(スポ4=東京・白梅学園)が鮮やかにシュートを成功。一進一退の試合展開は残り2分ほどで30ー31となる。ラスト40秒、土壇場で決めたのは、この試合大活躍の里村だった。このまま試合終了かと思われたが、ディフェンスで井橋が相手のボールをカット。そのままボールは杉浦亜優(スポ3=愛知・名経大市邨)に渡り、勢いそのままポストシュートを決める。後半10秒からの見事な逆転劇となった。
試合終了間際、逆転シュートを決めた杉浦
強豪筑波大相手に劇的勝利を見せた早大。試合終了直後、選手はもちろん監督、コーチらスタッフ陣らも喜びを爆発させた。前週の試合に比べて、強みとする「オフェンスから速攻」がうまく機能し、選手一人一人の良さが詰め込まれた一戦となった。「自分たちがやりたいことを60分やり切れれば勝負できる」という里村の言葉通り、今試合は新体制の底力を見せつけるとともに、選手たちの自信になったに違いない。この勢いのまま残り9試合も選手の笑顔が弾ける試合を期待したい。
(記事 大村谷芳、写真 三浦佑亮)
結果
早大32ー31筑波大
前半
早大21-13筑波大
後半
早大11-18筑波大
スタメン
GK 堀内雪羽(スポ1=千葉・昭和学院)
LW 里村采音(商2=岩手・不来方)
LB 山野紗由(スポ3=北海道・釧路江南)
PV 杉浦亜優(スポ3=愛知・名経大市邨)
CB 井橋萌奈(スポ2=東京・白梅学園)
RB 山田梨央副将(スポ3=千葉・昭和学院)
RW 鶴田文乃副将(スポ4=山梨・日川)
コメント
杉浦亜優(スポ3=愛知・名経大市邨)
ーー強豪筑波との一戦、試合を振り返って
前半で戦わないときついというのは監督、コーチから言われていたのでそこで前半結構早稲田の良い流れを持って来れたのは良かったのかなと思います。後半が始まってからは、簡単に点を取られてしまって追いつかれてしまったのは弱みだと思うのでそこは修正したいと思います。
ーー前半から一転、後半得点できない時間が続きました
ディフェンスから始まったのですが、ディフェンスで守れない、みんなゴテゴテになってしまって押し込まれてシュートをされたり簡単にずらされたりした部分で点を取られてしまったことが要因だと思います。その間にオフェンスに切り替えられなかったことが要因だと思っていて、自分たちの強みはディフェンスから守って速攻にいくことだと思うのでそれができていなくてうまくペースをつかむことができなかったかなと思います。
ーー最後のシュートシーンを振り返って
すごく美味しいところをもらった感じになってしまったのですが、チームの目標で「私が走る」というものがあってそれを今日は1試合を通じて走れたかなと思うのでそこは良かったと思います。残り秒数も少なくて、緊迫の状態だったので緊張しましたが、決めることができて良かったです。
ーーチームメートからは何か言われましたか
「ありがとう」とか「すごかったよ」と言われてうれしかったです。
ーー次戦に向けて意気込みをお願いします
来週が、東京女子体育大学と東海大学で山場になってくると思うので、この流れを断ち切らずに1週間頑張っていきたいと思います。
里村采音(商2=岩手・不来方)
ーー見事な試合展開でした、試合を振り返って
前半でしっかり自分たちの持ち味を生かしてプレーできたことが、点差にも表れたと思います。スタートダッシュからみんなで攻めて守れたのが良かったと思います。後半の早い時間に点差を詰められてしまったのはチームとしてのこれからの課題だと思うので、ゲーム全体の作り方はもっと考えていかなければなと思います。
ーー春リーグ4試合で自身最多得点でしたが、率直な気持ちを教えてください
これまでの3試合でも自分がシュートを任される場面が多かったですが、決め切れないことが多くて、チームにも迷惑をかけていました。それでも信頼してパスを出してくれた仲間がいたので、ここまで点数を取ることができたと思います。
ーーサイドにボールが集まっていましたが、ご自身のプレーを振り返っていかがですか
筑波大のキーパーの一人が高校の後輩で対戦経験もあるので、そこは絶対に負けられないと思っていました(笑)。しっかりキーパーを見て打ち切れたのは良かったと思います。
ーー春季リーグの4戦目を終えました、これまでの自身のプレーを振り返って
今回のようにしっかりシュートを決め切れると良い戦いができるというのは分かりましたが、これまでの3試合で自分はあまりチームに貢献できていなかったと思います。これからの9試合はシュート率にこだわってやっていきたいです。
ーー次戦へ向けての意気込みをお願いします
強い相手ですが、今日の試合で自分たちがやりたいことを60分やり切れれば勝負できるという感覚をつかめました。あと1週間しっかり練習して頑張ります!