日曜の書籍広告に「地獄 絵本」が載った。数十年前に書店で立ち読みしたことがある。ロングセラーらしい。この本をアマゾンで調べたら、紙本だけでKindle本がなかった。仕方がないので同様の内容の廉価な文庫本を買った。

まるで今昔物語・宇治拾遺物語・日本霊異記といった説話集のような内容だ。アマゾンの商品説明を引く。

眠れないほどおもしろい地獄の世界――宿世の業、因果応報の呵責…死の先に何が待つのか? (王様文庫) Kindle版
人はなぜ、地獄に惹かれてしまうのか――?
恐ろしくも妖しい阿鼻叫喚ワールドを探訪!
自分が堕ちるのは嫌だけど、
なぜか気になる異世界――地獄。
「因果の理」をこの世を超えて説く仏教思想の流れから生まれた、
その「凄惨だけど、目が離せない」世界をあらゆる角度から徹底検証!
<堕ちるな、危険!>
たとえば、こんな罪を犯していると……
▼酒への執着  → 灼熱の業火でこんがり
▼オレオレ詐欺 → 金鋏で舌を抜かれる
▼寺の破壊   → 二千年間、落下し続ける
苦しみの先に「救いの道」がひらける
◇地獄と極楽のマニュアル書『往生要集』
◇「地獄の刑期」を人間世界の時間に換算すると?
◇「救いようのない極苦」だけがある地獄の最下層
◇「餓鬼道」「畜生道」…六道輪廻って何?
◇「念仏」ですべての悪行をクリアリング!
◇死をありのままに描いた「九相図」とは
はじめに……死の先には、何が待っているのか?
●1章 仏教はいかにして「地獄」を生んだか?

    「死後に生まれ変わる世界」はこうして決まる
「地獄のイメージ」はどこで生まれた?
私たちは「生まれた以上、死ぬ運命」
「執着」のたどり着く先こそ地獄?
「無明」──縁起を知らない恐ろしさ
どうすれば「地獄に引き寄せられない生活」ができる?
魂は「死んでも消えない」のか
「不滅の魂」は存在する? しない?
いったい何が輪廻しているのか?
輪廻(生まれ変わり)の「行き先」
現在の業(行ない)が未来の境涯を決定する
「悪いカルマの蓄積」に要注意
●2章 「死後の世界」はパラレルワールド
    「地獄」はこうして爆誕した
「大乗仏教」はなぜ地獄という概念を生んだのか
「まったく新しい仏教哲学」が発展した背景
「お釈迦様伝説」のぶっ飛んだ解釈
「誰でもブッダになれる」。だが、どうやって?
仏教世界は「無数のパラレルワールド」!
「超人的な存在」になったブッダ
「三千大千世界」という壮大な宇宙観の出現
「極楽浄土」と「地獄」は二つでワンセット
「浄土への憧れ」は、こうしてマックスに
「末法思想」と地獄について
源信登場! 極楽往生のススメ
『往生要集』は死後の世界のマニュアル書
「六道輪廻」とは何か
●3章 堕ちるな危険! 「地獄」マニュアル
    源信の『往生要集』に書かれた阿鼻叫喚の世界
ようこそ! 戦慄と驚愕の地獄ワールドへ
①等活地獄
罪人たちが鉄の爪で互いの肉と骨を削り合う!
「地獄の刑期」を人間世界の時間に換算すると?
刀が雨のように降り注ぐ「刀輪処」
豆のように煎られる「瓮熟処」、苦しみが多すぎて書き切れない「多苦処」
「むやみな殺生」を繰り返していると……「闇冥処」「不喜処」「極苦処」
②黒縄地獄
焼けた鉄の墨縄でマーキングされて切り刻まれる
黒縄でグルグル巻きにされ嶮崖から突き落とされる!
③衆合地獄
鉄の山に挟まれ、岩石で圧殺され……
残酷すぎる「悪見処」、男色に耽った者の「多苦悩処」
④叫喚地獄
「酒の飲みすぎ」で鉛を飲まされる!?
⑤大叫喚地獄
灼熱の金鋏で舌を抜かれる恐怖
⑥焦熱地獄
まるで料理番組のように、肉団子にされ、焼かれ……
⑦大焦熱地獄
獄卒に喉仏をガッチリ掴まれ閻魔王から直々の説教!
⑧阿鼻地獄
救いようのない「極苦」だけがある世界
●4章 「地獄」と「極楽」の狭間にある世界
    「餓鬼」とは何か、「阿修羅」の闘いとは?
地獄以外の「五つの世界」はどんな場所?
「餓鬼道」──飢えと渇きに苦しみ抜く世界 
「畜生道」──食べて繁殖するだけの弱肉強食の世界
「阿修羅道」──戦いに明け暮れるだけの世界
「人道」──救いは厭離穢土だけ!
「天道」──死の間際には〝地獄に匹敵〟する絶望が!
●5章 「極楽浄土」に行く方法
    「念仏」ですべての悪行をクリアリング!
欣求浄土! 「阿弥陀様のお側へ行きたい」
浄土教クリアリング法――すべての憂いを打ち払うには?
地獄行きを免れる「ファイナル・アンサー」!
「無量の光明」に満ちた存在、アミターバ
初期仏教における「念仏」
「南無阿弥陀仏を称えればOK」以前の「観想念仏」とは
「仏の姿をイメージ」することがポイント
あの法然の目から鱗が落ちた「一文」とは?
それまでの観想念仏を「古い」と一刀両断!
必要最低限で最大の効果! それが「南無阿弥陀仏」の念仏だ!
煩悩と罪悪にまみれた凡夫にこそ光明を!
厳しい修行を積まなくても、女性でもOK!
究極の進化! 阿弥陀仏を信じてさえいれば救われる
親鸞の「他力本願」と「悪人正機説」
おわりに……あとは阿弥陀様におまかせ!
コラム

■お釈迦様VSダイバダッタ
■「空の思想」の何が画期的だったのか
■「アーラヤ識」をきれいにすれば地獄に堕ちない?
■九相図──「美女への執着」から離れる瞑想法
■怪魚伝説
■浄土教美術
■著者 富増章成