(九 水仙の芽とガンダーラの仏像)読了。
コペル君は庭の水仙を日の当たる場所に植え替えてやった。離れた撮っころにある少し芽が出たばかりの水仙も植え替えてやるために土をシャベルで掘り出した。ところがなかなか球根が姿を表さない。30センチほど掘って、ようやく球根が出た。球根から伸びた地面の中の茎は白く、ちょっと見るとネギのようだった。コペル君は、地面に顔を出した芽が「伸びてこずにはいられなかった」ことに思いを馳せた。
仏像といえば日本や中国などの東洋のものだとばかり思っていたコペル君は、おじさんと話すうちに、仏像はインド北西部のガンダーに定住したギリシア人とインド人の、東洋と西洋が混じったものだったことを知る。
ものごとの期限など、先入観を持たずに深く調べて考える大切さを知ったコペル君だった。
(十 春の朝)読了。
コペル君は、おじさんが書き残してくれたノートを何度も繰り返して読んだ。そして今度はコペル君がノートに書いたものをおじさんに読んでもらうことにし、さっそく一文を書いた。そこには心身ともに成長したコペル君がいた。
コペル君のノートは、若い少年のさわやかな思いに満ちていた。
吉野源三郎は、次のように締めくくって、この物語を閉じた。
--
そこで、最後に、みなさんにおたずねしたいと思います。ーーーー
君たちはどう生きるか。
--