2019年5月11日のブログをリブログします。
--ここから
三省堂現代新国語辞典第六版の帯広告から評論文キーワードを他の辞書と読み比べています。
今回は、【通奏低音】です。
ところが、本日は、事件が起きました!
事件というと大げさかもしれませんが、帯広告にある言葉が、辞書に立項されていないのです。
今回対象となる言葉は「通奏低音」ですが、次の写真のとおり、辞書に立項されていません。
帯広告を見てみましょう。「評論文キーワード対応ナンバーワン!」として、「異化」から「両面価値」まで、36の言葉が並んでいます。
「通奏低音」は22番目に印刷されています。
帯広告は当該辞書の
「売り」のはずです。
それが立項されていないのは どうしたことでしょうか!?
気を取り直して、読み比べを始めましょう。
(三省堂現代新国語辞典第六版) 立項なし
(現代国語例解辞典第五版) 立項なし
(明鏡国語辞典第二版大型版) 立項なし
(岩波国語辞典第七版新版) 立項なし
(集英社国語辞典第3版)
つうそう ていおん [テ] 【通奏低音】〖音〗楽譜に示された数字付きの低音に重ねて、鍵盤けんばん楽器のパートが即興で和音を補いながら伴奏部を完成させること。また、その低温。十七、八世紀のヨーロッパで用いられた。▽イタリアbasso continuo
(国語大辞典 Bookshelf Basic 2.0版) 立項なし
(Dual大辞林)
つうそう ていおん [5] 【通奏低音】
① 与えられた数字付きの低音の上に即興で和音を補いながら伴奏声部を完成させる技法。ヨーロッパの一七,八世紀(バロック時代)に広く用いられた。数字付きバス。
② (比喩的に)表面にはあらわれないが一貫してその物事に影響を及ぼし続けている要素。
Dual大辞林は中型辞書の電子版ですから、その規模において立項されていておかしくないですが、三省堂現代新国語辞典第六版と同規模の集英社国語辞典第3版が立項しているとは「ことばのホームドクター」という売り文句に恥じないことで立派ですが、Dual大辞林の語釈②の意味が書かれていれば、評論文キーワードとしての読みが深まったかと思います。
よって三現新の 15勝2敗4引き分けとします。
--ここまで