この1編で第21巻を読了する。

男の隠れ家
◎泥亀の七蔵が玉村の弥吉を見かけたという知らせを持ってきた。芋ずる式に盗賊を捕えようと考え、密かに見張ってみた。すると玉村の弥吉の代わりに侍が出てきた。その侍をつけてみると、どことなくおかしい。
◎やがて、その侍が浪人に絡まれると、侍が実は町人の変装した姿である事が分かった。しかし一体何故この様なまねをしたのか?そして、この町人と玉村の弥吉の関係は?

◎侍に変装した町人の正体は、大店の婿養子だった。先代に気に入られて婿に入ったこの娘婿は、先代没後、婿取りの女房に虐げられ、丁稚のような待遇に甘んじていてストレスが限界に達した。

◎掛け碁の会で玉村の弥吉と仲良くなった娘婿は侍に変装して町中を歩くことでストレスを発散していたのだ。弥吉は気の毒になって、婿取り女房にひと泡くわせてやることを計画する。

◎娘婿を本人の自宅の引き込み役にし、大店に忍び込む。

◎金も盗まず血も流さず、弥吉がやったのは傲慢で高慢な婿取り女房を丸坊主にしてしまうことであり、計画どおり女房は丸坊主になり、半狂乱となり、娘婿は溜飲を下げる。

◎弥吉は火盗改に捕縛されるが解き放たれる。一度は密偵になることを強く断った弥吉だが、見張られているという強迫観念に苛(さいな)まれて疲れ切り、密偵になることを承諾する。