今夜、仕事(塾の授業の準備)をしていたら、母が聴くテレビの歌番組の歌が聞こえてきました。

私は画面を見ていませんでしたが、歌手はその声から川中美幸さんで、歌は金田たつえさんの「花街の母」とわかりました。

歌詞の中で「よいにつまとる」がありました。

突き詰めて考えると、私は意味を知らないことがわかりましたので、ネットで歌詞を確かめました。

すると「よいにつまとる」は「宵に褄とる」であることがわかりました。

 

久々に岩国八版を引きました。

念のため「宵」を引くと、語釈の▽部分が面白いので転記してみました。

 

よい よひ 【宵】 日が暮れてからしばらくの間。(夕暮れに続く)夜の初めの部分。「―の明星(みょうじょう)」(日没後、西の空に見える金星)▽「夕」と同語源だが、「まだ―の口だ」でかなり遅い時を指し、「―っぱり」が夜更かしを言うなど、一部の用法で夕より後の時間帯に使うので、気象庁の予報用語では二〇〇七年秋から午後六時~九時を指して使う「―のうち」を「夜のはじめ頃」に替えて、紛れを防ぐ。

 

続いて「褄とる」の「褄」を読みにかかりました。

 

つま×褄】 の語釈から㋓を引きます。

㋓和服の衽(おくみ)の、腰から下のへりの部分。[褄] 「―を取る」(すその長い着物の褄を、手で引き上げて歩く。また、芸者となる)▽→ひだりづま

 

「花街の母」の世界にぴったりでした。つづいて「ひだりづま」も読んでみることにしました。

 

ひだりづま 【左×褄】『―をとる』 芸者の勤めをする。▽歩く時(しろうとの女は右手でするのに)芸者は左手で褄(つま)を持ち上げるようにつまむから。

 

今夜、長い間わからないままにしていた言葉の意味がすべて氷解しました。この歌が流行ったのは調べると1973年6月といいますから、私が高校2年のころです。意味も分からず「なんだか淫靡な言葉だな」と感じていたのでした。

辞書は読むべし!です。