先日のテレビ朝日「路線バスで寄り道の旅」を楽しく試聴して居たとき、番組の最後の場面で、徳光さんが話した言葉が気になりました。
徳光さんいわく
「富士山、夕日、イルミネーションを見ることができて、有終だね。」
聞こえた言葉だったので正確ではありませんが、「ゆうしゅう」と聞こえたのは間違いありません。
このセリフで使う「ゆうしゅう」で当てはまる漢字は「有終」か「優秀」と思います。番組内容と徳光さんの表情からも納得できる選択です。
「優秀」の場合、考えられるのは「この番組は、内容がよくて優秀な番組でしょ?」という徳光さんの気持ちが表れた場合です。
でも、ちょっと変な内容です。
「有終」の場合、考えられるのは「富士山、有名な夕暮れ時からの夜景を見て、最後には美しいイルミネーションを見ることができた。まさに有終の美を飾ることができた」という徳光さんの気持ちが表れた場合です。
ここで問題が起きました。
「有終」って、単独で使える言葉なのか?
という問題です。
国語大辞典Bookshelf版を引きました。
--ここから
ゆうしゅう(イウ‥)【有終】
終わりをまっとうすること。最後までよく仕上げること。
有終の美(び) 最後までやり通して、立派な成果をあげること。終わりを立派にすること。「有終の美を飾る」
終わりをまっとうすること。最後までよく仕上げること。
有終の美(び) 最後までやり通して、立派な成果をあげること。終わりを立派にすること。「有終の美を飾る」
Kokugo Dai Jiten Dictionary. Shinsou-ban (Revised edition) ゥ Shogakukan 1988/国語大辞典(新装版)ゥ小学館 1988
--ここまで
「有終」単独の用例がありません。
岩波国語辞典第八版を引きました。
--ここから
ゆうしゅう【有終】終わりを全うすること。「―の美」(最後までしとげてりっぱな成果をあげること)
--ここまで
「有終の美」の用例しかありません。
角川必携国語辞典は「有終」の立項はなく、いきなり慣用句として、
--ここから
ゆうしゅう(有終)の美びを飾かざる 最後までやりとおして、成果をあげる。最後をりっぱにする。
--ここまで
広辞苑第七版には慣用句の元になった詩経の文があり、次に下位項目として「―の美」があるだけです。
しかたがないので、ネットでコトバンクを使って「有終」を引きました。
登場する辞書すべて、有終を単独で使う用例はありませんでした。
徳光さんだけが使った言葉でしょうか。
徳光さん、寝ている場合じゃありませんよ(笑)!