読売新聞(2016.06.11)の記事を興味深く読んだ。

 

(大見出し)

英新聞 デジタル時代の試練

「紙」のみ 2か月で廃刊

(中見出し)

ジャーナリズム堅持へ模索

(リード)

英国で30年ぶりの新日刊紙として注目された「ニュー・デー」が5月に廃刊になった。2月末の創刊からわずか2か月余り。デジタル時代にあえて紙の新聞発行に踏み切るという野心的な試みはうまくいかなかった。英国の新聞は「紙離れ」の試練に直面しながら、ジャーナリズムの伝統を堅持しようと試行錯誤している。

(本文の要約) ※文責はブログ筆者

◎ デジタルの読者を振り向かせられなかったことが敗因だ。(新聞社広報担当の説明)

◎ 現代人は価値観の押し付けを嫌うという調査結果に基づき、ニュー・デーは、新聞社の主張を伝える社説を設けなかった。

◎ あえてウェブサイトも作らず、紙の新聞にこだわるという戦略をとった。

◎ 英国の新聞は長い伝統を誇り、その発祥の地は、ロンドンの金融街シティーにつながる「フリート街」。主要新聞社が密集したフリート街は「ジャーナリズム」の代名詞だった。

◎ 報道機関を意味する「プレス(印刷機)」は、1500年にフリート街に印刷所が設置されたことに由来する。

◎ 近年はデジタル化の進展に伴い、「紙離れ」が顕著。3月に高級紙「インデペンデント」が紙の新聞発行をやめ、電子版に完全移行など、各社は新たなビジネスモデルを模索している。

◎ シティー大学ロンドンのジョージ・ブロック教授(ジャーナリズム)は次のように指摘する。

「新聞は今後もデジタルへの適応という圧力にさらされるが、権力が隠そうとしたり抑えようとしたりする情報を暴き、議論の土台を国民に提供するジャーナリズムの役割は保ちつづけるだろう」

 

 

この新聞記事は英国の例だが、日本の新聞社・出版社も内情は厳しいのではないか?

昨日、文庫本の解説目録の前書きを読んでいて、そのような気がした。

 

私は次の2点を特に心配している。

◎ 現在、新聞購読料は1か月3200円。情報取得の対価としては「格安」だ。しかも、切り取り自由でスクラップブックへの保存も容易だ。このような紙の新聞がなくなることは本当に困る。

◎ 紙の本からデジタル本に移行するのは、ある意味、世の流れだろう。紙とデジタルの両メディアの併売をこれからも望む。これは、一般書籍だけではなく、辞書も同様である。今後の辞書の新版発行が、どのような形になるのか、実は、かなり気にしている。