足掛け3年、辞書といえば、パソコンのハードディスクに組み込んである『国語大辞典 新装版』(小学館1988)を利用していた。何度もブログに書いたが、杉の木の枝の伐採以来、両肩・両腕を「壊し」ていたため、紙の辞書が持てなかったのである。

 

昨日、『日本語シソーラス 2版』を購入して、2階の書斎に運んだとき、「あ、これだけの重さの辞書が持てるようになっている!」と自分の体調快復を褒めた。

と、同時に、「紙の辞書を使えるかも・・・!」と思い、以前から気に入っていた『集英社国語辞典 3版』(集英社2012)を手に持ってみた。大丈夫!だった。

 

 

この辞書は、内容もよいが、モノとしての作りもよい。

つまり、手触り・質感・色合い・堅牢・ページ数の割に軽量・・・と、私のお気に入りの辞書だ。

 

こういう紙の辞書を生徒にも使わせたい、と、切に願っているのだが、中高生には電子辞書が流行しているのは間違いない。電子辞書は携行に便利で多くの種類の辞書が使えるという利点は紙の辞書にはない。それに、すでに電子辞書を持っている生徒に、紙の辞書を買い足せとも言えない。さらに、指導時間の中で、長々と辞書を引かせて読ませることを、生徒も保護者も希望していない。

 

ところが、たった一人だけ、私が、紙の辞書を徹底的に読む、つまり、言葉の意味だけでなく、用例・類語・対義語・文法事項等、書かれていることすべてを音読することを課した生徒がいる。

小学5年のときから私と国語を学んでいて、現在、中学2年になるHくんだ。

 

※ブログに書く生徒名は、登場順にA、B、C、D・・・と略称を使っている。ブログに登場した生徒はHくんで8人目になる。

 

3年前、初めて本人と母親に対面したときに、母親の要望を聞いた。

 

「すでに週に6日、進学塾に通わせていて、テスト攻めの日々が続いているので、進学塾のような指導は希望しない。この子に本質的な読解力・学力を身につけさせてほしい。落ち着いた時間の中で、勉強の楽しさを感じられるような指導をお願いしたい。

 

母親の願いを確認し、私は「我が意を得たり」とばかり、指導方針を説明した。

 

指導時間の中で、黙々と辞書を引いて読む時間を取りたいがよろしいか。読解力を磨くために作った自作教材を、辞書を頼りに読解していく形の授業でよろしいか。私自身の学生時代の勉強方法を息子さんに伝えたい。万一、国語の成績が上がらなかったら指導方法を変える。」

母親の快諾を得て、Hくんとともに辞書を読む授業が始まった。

 

彼は、「辞書を読むのが楽しい」と言い、小学6年の4月から『例解新国語辞典』(三省堂)を読み始め、2年少々でこの辞書の6~7割ほどを読了している。

Hくんは圧倒的な語彙力と読解力を身につけ、国語については在籍校トップクラスの成績を獲得している。

 

 

辞書は読むべし。