読売新聞 2016.05.18 に載った記事です。

 

 

教育漢字とは 漢字辞典オンライン によれば

教育漢字とは小学校1年生から6年生までに習う漢字のことです。 文部科学省の「学年別漢字配当表」によって各学年で習う漢字が定められています。 教育漢字の総数は現在「1006字」です。 「教育漢字」という呼び方は、小学校で習う漢字を指す場合の一般的な呼び方ですが、正式に定められた名称ではないようです。

新聞記事の要旨は

2020年からの新しい学習指導要領において、現在1006字ある小学校で習う漢字に20字加えて、すべての都道府県名の漢字を小学校で教えられるようにする

ということです。

 

すごく極端な話をします。

現行の学習指導要領を絶対に順守しなければならないと考える小学校教師の授業においては、例えば、岐阜県に住む小学生は、自分の住所を「岐阜県・・・」と書きたいのに、学校では「ぎふ県・・・」と書かなくてはいけない、と指導されるわけです。

(実際には、こんなことは行われていないとは思いますが)

 

込み入った話をさせてもらいますと

岐阜県の「岐」の字は

(音読み)キ→中学校で習う読み  ギ→表外読み

(訓読み)ちまた→表外読み わか(れる)→表外読み

(種別)常用漢字

 

岐阜県の「阜」の字は

(音読み)フ→中学校で習う読み

(訓読み)おか→表外読み ゆた(か)→表外読み

(種別)常用漢字

 

※「表外読み」とは「常用漢字表にない読み方」

 

というわけで、現行の学習指導要領では、「岐」も「阜」も小学校では習わない漢字ですから、

「ぎふ県」と書きなさい、と、指導されるわけです。

 

もちろん実際には、どこの都道府県の学校でも、「都道府県名を漢字で書いてはいけません」というような指導はしていない、とは思います。

私は、小学3年生以上の児童には、居住地の都道府県名の漢字表記を、積極的に指導するべきだと思います。

 

なぜ、こんな笑い話のような話を長々と書いたかと言いますと、数年前にマスコミを賑わせた出来事を思い出したからです。

2012年4月15日の読売新聞の記事を転記します。

 

 

2012年3月の読売新聞の「気流」欄に載った読者の投稿がきっかけで、当時、けっこう話題になった 《 子どもの名前の未習漢字を学校で使わせないことの是非 》 という件です。

 

今回の都道府県名を漢字で書けるようにする教育漢字の20字追加の学習指導要領改訂とは次元が違うと言えばそれまでですが、都道府県名にしても児童の名前にしても、漢字表記の問題は、要は、現場教師の、校長の、校長会の、市教委の、采配ひとつの問題ではないでしょうか。

 

私は、短い学級担任時代でしたが4年生を2回担任した経験があります。小学4年生は、名札の文字が、平仮名表記から戸籍通りの漢字表記に変わる過渡期です。

私が小学3年生のとき、担任の先生から「自分の名前を漢字で書けるようにしてくる」という宿題を出されましたので、親に教わりながら、わくわくしながら練習した記憶があります。

そして、私が4年生を担任したときにも、同じように宿題に出しました。ただし、一人一人の氏名の漢字の書き方・筆順を、学習国語辞典の使い方と併せて指導してから、でしたが。