日曜日の5月8日に読み始めて、本日、金曜日の13日に読了した。

 

 

『暮らしの手帖』を世に出した大橋鎭子と花森安治それぞれの生い立ちと、『暮らしの手帖』の終始変わらなかった編集・出版の方針を知った。

 

5月8日のブログにも書いたが、本書は、単なる「二人の名物編集者の伝記」と解釈しては説明がしきれない。すなわち、本書は 《  「庶民」を視座に置いた「日本人論」 》 の本と言える。

そして、副題の「美しき日本人」については、読了してみて、次のように理解した。

 

◎ 長く続いている日本の国の歴史は、貴族や武将、為政者に脚光を当てただけでは理解できない、民族としての歴史がある。

 

◎ 「日本人とはどのような民族であったか」そして「日本の国とはどのような国であったか」を正しく理解するには、日本人の「庶民」~市井しせいに生きる民衆~の生きざまを知る必要がある。

 

しょみん【庶民・諸民】
1 一般の民衆。人民。
2 貴族などに対して、身分がふつうの人々。平民。

Kokugo Dai Jiten Dictionary. Shinsou-ban (Revised edition) ゥ Shogakukan 1988/国語大辞典(新装版)ゥ小学館 1988

 

◎ 本来、日本人~多くの「庶民」~は、その生きざま・死生観が「美しい」民族だった。

 

◎ 美しい日本人として生き切った「庶民」として、大橋鎭子・花森安治がいた。

 

 

ちょうど今日の午後、都知事が記者会見をしていた。「美しくない都知事」だと思った。

 

大手自動車製造会社が嘘をついて「庶民」に自動車を買わせていた。「美しくない会社」だ。

 

2020年の東京オリンピック誘致に「お金」が動いていた、という噂が流れている。

こんな「美しくないオリンピック」は止めたほうがよい。

 

被災地に泥棒や詐欺師が現れて、困っている人たちを苦しめている。「美しくない日本人」の存在が顕在化している。

 

「美しい日本人」の「美しい」を英訳するとき、beautiful は論外だが、smart とも違う。

適した訳がわからない。英訳をあきらめて日本語で考えれば

「一生懸命、悪いことをせず、真面目に生き抜いた」=「美しい」

なのだろうか?

まもなく発刊されるという「日本語シソーラス類語検索辞典 第2版」を手にすれば、このような疑問は氷解するのだろうか?

値段が高くて手が出ないが・・・(苦笑)。