漠然と吹くな、音色を探求せよ

私はトロンボーン、テューバ、そしてユーフォを吹いてきたが、トロンボーンとテューバをしていた時は、ただ目標もなく漠然と吹いていた。それは、練習さえしたら上達するとだけ考えていたからだ。
　
そんな時、ユーフォの有名奏者である外囿祥一郎さんの音色を聞いて衝撃を受けた。そして、そんな外囿さんのような音色で吹きたい、と強く願った。
　
それから考えて吹くようになった。どうやったらあのような音色を出せるのだろう、と毎日研究した。技術的な部分は練習したらなんとかなる。しかし、音色は十人十色。ならば、目標がなくては着地点が見つからない。ただボエ〜っと吹くのでは、上達しないし、なにより音楽が楽しくない。
　
最近、楽器を始めた人は、まず、プロ奏者などの方々の音を聞き、自分が惚れた人の音楽を聞きまくろう。そして、どうやったらその音楽に近づけるか研究しよう。そうすれば、必ず漠然と吹いている人と差が出始める。それこそが【上達】だ。
　
もちろん、プロ奏者じゃなくても、身近な先輩でもいい。『ああ、この人みたいな音を出したい』と思えたら、その時点で上手くなる素質がある。
　
音楽とは音を奏でるものだ。決して技術的な面ではない。重要なのは、その人の音色だと思う。技術的に不安なら、とにかく繰り返し練習する。本当に上達したいなら、それにプラスして聞く人を惚れさせるような音色を意識しよう。