親父が突然言い出した。「今日はお前にプラモデルを作ってやる!」
僕は瞬間、眉間にシワを寄せた。「え? 親父、それ本気で言ってる? この人、前にラジコンの車作って、ホイールだけで半年格闘したじゃん!」
しかし親父は目を輝かせ、工具箱を抱えてリビングに現れた。「科学と気合の融合や!」いや、プラモですよ? 戦車や飛行機ですよ? 気合だけで飛ぶなら僕も欲しい。

まず驚いたのが親父の準備力だ。工具を床に広げる広げる。ニッパー、ヤスリ、接着剤、謎のスパチュラまで。僕「ちょっと待って、スパチュラって料理用じゃ…」親父「料理も戦場も手先の技術は同じや!」いや、違うから! 僕は心の中で100回くらいツッコミを入れた。

作業開始。僕は説明書を手に「ここから始めようよ」と言う。親父「説明書? 読むだけ時間の無駄や!」
結果、説明書は即座にゴミ箱行き。親父は箱の中からパーツを取り出し、なんとなく合いそうなところに接着剤を塗り始める。僕「いやいや、そんなに適当にくっつけて大丈夫ですか?」
親父「大丈夫、大丈夫! 男の勘や!」…この男の勘で、間違いなく飛行機はUFOになる予感しかしない。

しかも親父は細かいパーツを指で押さえながら、「おお、これは戦場で重要な部分や!」とか意味不明なセリフを連発。僕「いや、今のパーツ、翼の先端ですけど…戦場とか関係ないし」
さらに親父、接着剤をつけすぎて、パーツが瞬間接着剤で指ごとくっついた。「うわっ、親父! 指が飛行機になってる!」いや、戦場どころか人体損傷ですけど!

それでも親父は笑顔を絶やさない。「これが男のロマンや!」いや、ロマンと破壊力を一緒にしないでください。僕は思わずヤスリを手に取り、「これ、削った方がいいんじゃ…」と助言。
しかし親父は即答。「削る? そんなのプラモデルが泣くで!」いや、泣く前に飛行機が曲がってますよ!

そして塗装タイム。僕「せめて色は説明書通りに…」
親父「説明書? お前、芸術って知っとるか?」
その瞬間、飛行機の機体は真っ赤、翼は青、プロペラは黄色。僕「え、まさかの三原色祭り?」
親父「これが未来の戦闘機や!」いや、未来どころかカラフルすぎて敵も味方も混乱しますけど!

作業中、僕は何度もツッコミを入れる。「そこ接着する前に向き確認して!」「その色絶対間違ってる!」「パーツ折れるからやめろ!」
しかし親父は聞かない。「男は勢いで作るんや!」…いや、勢いで作った飛行機、確実に空飛ばないやつ!

そして完成。リビングに置かれた飛行機は、説明書からは完全に逸脱した、まるでポップアートの塊のような物体に。
僕「いや、これ飛ぶんですか?」
親父「飛ぶかどうかは関係ない! 心が飛ぶんや!」
…心だけ飛ぶのか、飛行機はどうなるんだ。僕は床に座り込み、天井を見上げて大きなため息。

しかし不思議なことに、僕は笑っていた。細かい失敗、突拍子もない色使い、指に接着剤をつけたハプニング…全部、親父の愛情だと感じる。いや、笑いながらだけど。
親父「おう、これでお前も男のロマンを感じるんや!」
僕「ええ、感じました。頭と心の両方で…」いや、頭は笑いすぎて痛いですけど!


エピローグ:親父とプラモの奇跡

その日、僕たちは完成品を前に、ただひたすら笑った。飛行機は飛ばない、パーツは曲がる、色はバラバラ。でも、リビングには笑いと親父の愛情が詰まっていた。
僕は思う。「飛行機が完成したかどうかなんて、どうでもいい。親父が一緒に作ってくれたこと、それだけで十分だ」と。
親父は満足そうにニヤリ。「これでお前も男の心を知ったな」
僕「はい、知りました。笑いすぎて腹筋も知りました」

飛行機は飛ばなかった。でも、僕たちの心は間違いなく飛んだ。いや、腹筋も飛んだ。完全に爆笑で。