指よ、どうか持ちこたえてくれ
――1日3000発撃ったあとにYouTubeでも撃つ、“ばね指ガンマニア”の記録
トリガーとは「引くもの」である。
しかし、今の私にとって、それは「業(カルマ)」である。
私はアメリカ・アラバマ州にある銃火器メーカーで働いている。
主な業務は、ガンスミス兼ほぼ毎日3000発以上の実射テスト。
ハンドガンをとにかく朝から晩まで撃ち続けている。
そして仕事が終わったら、今度はYouTube撮影のためにまた撃つ。
もはや自分の体がトリガーに同化しているような日々。
そんなある日、左手の中指が「パキッ」と音を立てた。
■ 医者「これは典型的なばね指ですね」
私「ですよね」
ある日、いつものように1911のグリップを握ったとき、
左手中指が引っかかって戻らなくなった。
しばらく曲がったまま固まり、無理に伸ばすと「バキッ」と痛みが走る。
病院に行って診断されたのは、
「狭窄性腱鞘炎」――いわゆる“ばね指”。
医師は言った。
「トリガーの引きすぎかと思いましたが、これは“握りすぎ”ですね」
「グリップを強く握り込むことで中指に過度な負担がかかっています」
それを聞いて、私は心の中でこうつぶやいた。
「そんなこと、100回くらい自覚してました…」
■ 仕事で撃ちすぎて、家でも撃つ矛盾
1日3000発というのは、決して比喩ではない。
テスト内容によっては1時間で1000発以上をこなすこともある。
仕事での射撃は、効率と正確性を求められる“ルーティン”。
その後、家に帰ってからはYouTubeチャンネルの更新作業。
「今日は新しく手に入れた1911のレビューです」なんて言いながら、また撃つ。
その瞬間、中指が「おい、いい加減にしろ」と語りかけてくるような気がする。
■ 「もう撃ちたくない」が本音。でも撃つ理由がある
正直に言えば、今は撃ちたくない。
指が痛むし、腱も張っている。
握った瞬間に「ゴリッ」と関節の中で何かが軋む。
でも、視聴者が待っている。
コメント欄には
「次の動画楽しみにしてます!」
「この銃、撃ってくれてありがとうございます!」
そんな言葉が並ぶ。
それを見ると、指の痛みを押し込めてでも
「やるしかない」と思ってしまう。
■ 後輩はいない。撃つのは自分しかいない。
「そんなに痛いなら誰かに撃ってもらえばいいのに」
そう言われたこともある。
だが、YouTubeは“自分の体験”を届ける場所だと思っている。
誰かが代わりに撃った銃をレビューしても、それは“自分の言葉”ではない。
撃って、感じて、考えて、話す。
だからこそ、痛くても、最後まで自分で撃つ。
■ 指が壊れても、銃は増える
銃はもう十分持っている。
そう思いながらも、新しいモデルを見ると心が躍る。
レビュー用に1丁、カスタム用にもう1丁。
「このセラコートの色味、最高じゃないか」と思ってポチッ。
気がつけば、グリップを握ることすらつらい指で、さらに新しい1911を開封している。
この矛盾に自分でも苦笑いしながら、
「でも、この銃は撃って紹介しないと」と思っている。
■ 湿布とテーピングがルーティン
最近の撮影前の準備はこうだ。
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湯で指を温める
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テーピングで中指を固定する
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必要なら鎮痛剤を飲む
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撃つ
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終わったら湿布を巻いてアイシング
まるでスポーツ選手のようなルーチン。
でもやってるのは銃を紹介するだけのYouTuber。
なんかおかしい。でも、それが日常。
■ 結論:撃ちたくない。でも、撃たずにはいられない
本当に撃ちたくない日もある。
トリガーに指をかけた瞬間、「今日はやめておこうかな」と思う日もある。
でも、銃を構えてしまえば――
サイトを合わせて、撃って、リコイルを感じた瞬間に――
「やっぱり、撃ってよかった」と思ってしまう。
まとめ
銃火器メーカーで1日3000発撃ち、
家ではばね指を抱えながらYouTubeのためにさらに撃つ。
矛盾してる。無茶してる。
でも、それでも続けたい。
なぜなら、
撃つことが好きだから。
見てくれる人がいるから。
そして、それが自分のスタイルだから。