これは私の友人の話になります。
つい言ってしまい後悔したこと
人間、誰しも「つい余計なことを言ってしまった」という経験があると思うんです。
僕の場合、その代表例は――親父との会話です。
ある日のこと。実家に帰った僕は、久々に親父と二人きりで晩酌をしていたんですよ。
でね、酒が進んでくると人間どうしても口が軽くなるじゃないですか。僕も調子に乗って、心にもないことを言ってしまったんです。
「親父ももう年だし、そろそろ大人しくしてた方がいいんじゃね?」
はい、終了。
よりによって、あの親父に「大人しくしろ」なんて禁句中の禁句。
すると親父、しばし沈黙。
僕の心臓はドキドキ。もしや「もう余命わずかなんだ…」とか言い出すんじゃないか? そうなったらどうしよう。泣く準備、心の中で完了。
ところが親父、口を開いて放った言葉がこれ。
「ワシな、昨日な、ロケット作ったんや」
…………は?
なんで急にNASA職員みたいなこと言ってんの?
よくよく聞いてみると、近所の廃品置き場から拾ってきた消火器と、ホームセンターで買った花火を合体させて「ロケット」なるものを開発したらしいんですよ。
で、それを裏山で打ち上げたらしい。
「ドカーン!てなってな、消火器の破片が向こう三軒先まで飛んでいったわ!」
アホか。
なんで毎回、命を削って近所迷惑してんだよ。
僕はついカッとなって言ってしまいました。
「そんなことばっかしてるから母ちゃんに嫌われたんだろ!」
……はい、第二ラウンド。
完全にアウトです。
その瞬間、親父の顔が鬼の形相に変わり、
「お前な、母ちゃんに嫌われたんはワシのせいやない!ワシが結婚記念日に買ってきたプレゼントがたまたま工事用のヘルメットやっただけや!」
余計な言い訳すんな。
ていうか、なんで記念日に工事現場アイテム買ってくんだよ。
でも親父、まだ続ける。
「しかもそのヘルメットな、内側に米粒で“祝 結婚20周年”て貼り付けてたんやぞ!心を込めとったんや!」
いや、米粒使うな。のり使え。
結局、その日僕が言った余計な一言で、親父の過去の黒歴史をどんどん掘り返す羽目になりました。
最終的には「カエルにバッタを与えるために仕事サボってる件」まで暴露され、僕の脳内では「親父=狂人」のレッテルが完全固定。
後悔しました。
心底、後悔しました。
教訓:親父に「大人しくしろ」と言ってはいけない。
なぜなら彼は、大人しくする代わりにロケット作って爆発させるから。