先 知 | ナベちゃんの徒然草

ナベちゃんの徒然草

還暦を過ぎ、新たな人生を模索中・・・。

今日は、我が愛読誌・月刊 『致知』 11月号から、JFEホールディングス名誉顧問・數土文夫氏の [巻頭の言葉] を一部編集にてご紹介します。

     ◆     ◆     ◆     ◆

「百金を愛(おし)みて敵の情を知らざる者は、不仁の至りなり。
人の将にあらず。主の佐(たすけ)にあらず。勝の主にあらず。」

これは今から約2,500年前、春秋戦国時代に稀代の兵法家・孫武が著した 『孫子』 の一節です。 その意味は

「戦を決断するにあたり、事前の情報収集・趙法活動を怠ってよいものだろうか。
戦費に比べれば情報活動など百金もあれば足り微々たるものだ。

 

これを惜しんで済ます。これほど仁の道に背くことがあろうか。
 

このような者は人の上に立つ資質に欠け、参謀・補佐役も務まらず、到底勝ちは望めない。」

『孫子』 はその前段の〝謀攻篇〟で 「彼を知り己を知れば百戦して殆(あや)うからず」 という名句を後世に残しています、

また最後の〝用間篇〟では、この 「敵を知る」 ためには敵に関する高度な情報活動とその分析が肝腎だ、と念を押しているのです。

ちなみにスパイを意味する間者・間諜は、その孫子が説く〝用間〟即ち間を用いるに由来します。

 

     

                孫  子

 

今年、3月から9月にかけてスポーツの世界的イベントが続きました。

中でもWBCの侍ジャパン、女子サッカーのなでしこジャパン、男子バスケットボールのアカツキ・ジャパンの活躍は、我々日本人を興奮させ、大いに勇気付けてくれました。

3チームはいずれも監督・コーチの人柄・統率力・技術的アドバイス力・戦術選択力に秀でていましたが、とりわけ対戦相手の綿密なデータ収集と解析、対応策の研究には相当なエネルギーを注いでいたと思います。

 

『孫子』 は更に念を押しています。

名君・賢将ひとたび動けば必ず勝ち成功するのは、人に先んじて有効な情報を得て対応するからに他ならない。

鬼神に頼らず、経験のみに頼らず、世論に惑わされず、信頼できる人・チームを使って生きた情報を集め、解析を素早く実践に生かしているからだと。

要は 「先に知る者が勝つ」 のです。

徳川家康といえば大変な読書家ですが、『孫子』 の印刷本を日本で初めて発刊した人物でもあります。

信長・秀吉が自分の体験に学んだのに対し、家康は古典・歴史に学んでいました。

『孫子』 の説く用間の価値も十分理解しており、隠密をよく用い、また伊賀・甲賀の忍者組織を統率する服部半蔵(↓)を配下にしていました。

 

 

江戸城の搦(から)め手門・半蔵門が服部半蔵に由来するところにも、家康の諜報を重視する姿勢が伺えます。

21世紀に入り、AIの急速な発達など科学技術が目覚ましい進歩を遂げています。

今や、国も企業も個人も、そしてスポーツのチームも新しい技術の習得に積極的に取り組んでいきたいものです。

百金を惜しんではいけません。


     ◆     ◆     ◆     ◆

敵の情報収集と味方の秘密堅持が勝利の秘訣。

なのに現代日本はCIAのような諜報機関がない一方で、スパイ防止法がないのに国家動員法がある敵国の学生を優遇して国内に何万人も迎え入れている・・・これじゃ戦に勝てるわけがありません。😫



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