殉 職 | ナベちゃんの徒然草

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還暦を過ぎ、新たな人生を模索中・・・。

15年以上前の出来事ですが、テレビが生中継で異様な光景を伝えたことでご記憶の方も多いと思います。 それは

2007(平成19)年5月17日に起きて翌18日に解決した

 

 愛知長久手町立てこもり発砲事件

同日午後4時前、愛知県愛知郡長久手町(現・長久手市)の民家から、「父親が拳銃を手にして暴れている」という通報があったものの、その2分後に「父親はもう落ち着いた。 警察が来ると興奮するので来ないで。 拳銃はおもちゃ。」 という2度目の電話が。

しかし長久手交番勤務の巡査部長が自宅に駆け付けたところ、元暴力団員の父親がいきなり本物の拳銃を発砲、首を撃たれて玄関前で昏倒。

(巡査部長は2度目の通報により防弾チョッキは着用しておらず。)

 

     
        巡査部長(左下)が倒れた現場

 

犯人の〝O〟は元妻との復縁を迫ったもののうまく行かず、拳銃を取り出して暴れたとのことで、巡査部長を撃つと同時に息子の左腹部と娘の右足を撃って負傷させ、元妻を人質にして立てこもったのです。(息子と娘は負傷したものの現場から逃走。)

その直後から警察は現場を包囲し説得を続けましたが、犯人は
「救急車を近づけたら撃つ」 などと威嚇。

また機動捜査隊が犯人の死角に陣取り射撃できる体制を取ったにも関わらず、本部から下がれという指示が。

更に午後5時30分過ぎには特殊捜査班(SIT)の隊員が巡査部長の救出作戦を立案したものの、これも本部の指示により中止。

結局、巡査部長の救出は玄関先で撃たれてから約5時間後の午後9時30分頃・・・一命は取り止めたものの、半身不随の後遺症が残ったといいます。

 

     
         巡査部長に近づく救出部隊

 

しかし救出部隊が巡査に近づいた際に庭にいた犬が吠え、それで気が付いた犯人が彼らに向け拳銃を発砲。

その流れ弾が現場後方で待機していた特殊急襲部隊(SAT ↓)の林一歩巡査部長(23)に命中。
 

 

林巡査部長は警察学校を首席卒業した精鋭で、奥さんと生後9ヶ月の長女がいましたが、病院に搬送されたものの助からず・・・SAT設立以来初の殉職者に。

 ※したがって、今日は林巡査部長の十七回忌にあたります。
 

     

           殉職した林巡査部長

 

その後しばらく膠着状態が続いたものの、翌18日午前10時30分過ぎ、犯人が地元FM局に自ら電話をかけ、DJとの会話を要求。

話をしている間に元妻がトイレの窓から逃げ出し、それ以後態度を軟化させた犯人は、警察の説得に応じ投降し逮捕されたのが午後8時半過ぎ。

発生から29時間経過してようやく事件は解決したのです。

     
           逮捕された犯人〝О〟

 

人質や犯人の家族は無事だったものの、警官1人が犠牲となったこの事件に関しては、愛知県警の対応に批判が集まりました。

私自身最も腹立たしかったのは、玄関先で凶弾に倒れた巡査部長を5時間(無線に応答しなくなってから3時間)も放置したこと。

人質の安全を第一に考えたのでしょうが、あまりにも救出が遅過ぎ。

愛知県警トップの決断力不足を指摘されても仕方ないでしょう。

一刻も早く仲間を救出したかった現場にいた警官たちの苛立ちはいかばかりだったか・・・。

おそらく、『踊る捜査線 THE MOVIE』で主人公・青島俊作が口走った名台詞そのものの心境だったでしょう。(↓)

 


私なら、部下を見殺しにするような上司とは絶対に仕事できませんし、そんな上司にはなりたくありません。

しかも人質が自ら逃げ出したのにも関わらず、犯人確保まで更に9時間もかかったのは、警察の対応に批判が集まるのは当然。

更には一連の交渉や犯人逮捕に至るまで、マスコミが逐一取材・生中継を行い、警察の救出・突撃訓練の様子までテレビで放映したこと。

これでは犯人に警察の手の内を明かしているようなもの。

いくら報道の自由があるとはいえ、犯人逮捕を阻害するような報道は誘拐事件のように協定を結ぶなどして規制すべきだったのでは?

人質事件解決に向け多くの教訓を残した案件だったといえましょう。

 

家族に向けて拳銃を発砲して傷つけ、更に警官1人を殺害し1人を半身不随にした犯人〝O〟に対し検察は死刑を求刑。

しかし最高裁まで争われた結果下された判決は、無期懲役でした。

もし同様の事件が欧米で起きたら、警官を殺傷した犯人など問答無用で射殺しているでしょうに・・・。

 

 

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