11月09日だから、イイレイキュウ・・・というわけ(?)で、今日は久しぶりに元葬儀屋として業界のウラ話、
霊 柩 車
にスポットを当ててみたいと思います。
では早速ですが、クイズをひとつ。
【「ひつぎ」という漢字には 『棺』 と 『柩』 がありますが、その違いはナニ?】
正解(というか業界の通説)は、
『棺』 = まだご遺体を納めていないカラの状態。
『柩』 = ご遺体を納めた後。
だから霊柩車は 『柩』 なんです。
芸能人や有名人の葬儀の様子を時々ニュースで流れますが、その締めくくりは式場から火葬場に向かう霊柩車の映像。
そこで、第2問。
【その出発の際、霊柩車がよく 「パァ~~~ッ」 とクラクションを鳴らしますが、それにはどんな意味が?】
これには諸説あるようですが・・・霊柩車などがなかった昔の葬儀では、野辺送りの出発時に故人様の霊が再び家に戻ってこないよう玄関先で故人様が愛用していた茶碗を割る風習があり、その 「ガシャン!」 という音の代わりにクラクションを鳴らすようになった、というのが私の信じる由来。
単に出発の合図ではないんですネ。
さて、この霊柩車には大別して2種類あります。
金箔や白木細工を施した 『宮型』 と、シンプルな 『洋型』。
皆さんお住まいの地域では、どちらの霊柩車をよく見かけますか?
地方によっては昔ながらの宮型が多いかもしれませんが、東京では殆どが洋型。
近年新設された公営火葬場の中には、宮型の乗り入れ禁止・・・なんてところもあるんです。
私が子供の頃は、「霊柩車を見たら親指を隠さないと、親の死に目に遭えないゾ。」 な~んて近所のおじさんに脅かされたものですが、一見してすぐ霊柩車と分かるのはよろしくない・・・という、火葬場近隣住民への配慮なのかも。
また片平なぎささん主演のTVドラマ 『赤い霊柩車』 シリーズなんてがありました
この赤い霊柩車、フィクションではなく実際に運用されていた地域があるんです。
それは、富山県。
1978(昭和53)年頃、富山県内の某葬儀社さんが、購入した中古(!)の霊柩車を赤く塗り替えたのが始まりだそうな。
その理由は、古来日本ではご遺体を〝輿(こし)〟に乗せて運ぶ風習があったそうで、その輿が緋色(少し黄色がかった鮮やかな赤)だったことに因んだとか。
ですから真っ赤というよりは少しオレンジに近い色でしたが。
一時富山では霊柩車=赤という時代もあったそうですが、現在は運用されていないとのこと。
「所変われば品代わる」と言いますが、葬儀のしきたりも地域によって違いがあります。
「ウチの地域では、もっと珍しい霊柩車が走っているョ」という情報がありましたら、是非お寄せください。
さて故人様のあの世へのご出発ですから、霊柩車の運行に際しては万に一つの間違いがあってはいけない・・・のですが、残念ながら人間のすることは完璧ではありません。
葬儀屋時代、某火葬場で別の葬儀社さんが霊柩車でご遺体を搬送してきたところ、いざ車から柩を出そうとしたら扉が開かなくなった、という場面を目撃しました。
ドライバーさん、真っ青になって何度もロックを解除し直しても、ダメ。
私はその時点で現場を離れましたが、その後ドアは開いたのかどうか?
でも、火葬場に到着したからまだ何とかなったんでしょうけど・・・これは以前聞いた話なんですが、式場から柩をお乗せしていざ火葬場に向かおうとしたら霊柩車のバッテリーが上がって出発できず、なんて事例もあったとか。
更にもっと酷いケースでは火葬場に向かう途中で交通事故に遭遇、衝突した弾みで後部ドアから柩が飛び出し、交差点の真ん中に・・・嗚呼、もうここから先はおぞましくて記事に出来ませぬ。
人間、お墓に入るまで油断は禁物・・・なんて元葬儀屋が言ったら、怒られる? 😰