3日後は、2人の思いが通じたかのような清々しい快晴の朝を迎えました。
Bさんは、車でAさんの自宅に寄って奥さんからキャディバックを受け取ると、病院へ。
Aさんは既に着替えを済ませ、ニコニコして待っていました。
「おっ、気合入ってるねェ。 じゃ、行こうか。」
Aさんは看護師さんに見送られ、Bさんの運転でゴルフ場へと出発。
平日早朝の東北自動車道下り線は思いの外空いており、コースへは1時間30分程で到着。
早めに着いたのでティーラウンジで一服していると、顔馴染みのマスターが笑顔で声をかけてきました。
「おやっ、Aさん、お久しぶり! 今日はBさんと2人っきりでデートですか? いい天気で良かったですね。」
そういうと、彼はソソクサと厨房へ。
(受付の時に顔を合わせた支配人といい、マスターといい・・・妙に忙しそうだな。)
とAさんは思ったかもしれません。
実はゴルフ場の幹部には、予めBさんから事情を聞いた支配人から事の仔細が伝えられていました。
彼らは事情を知っていたからこそ、普段通りに接しようと思っていたのですが・・・いざAさんの顔を見ると、それはあまりに辛く簡単な挨拶をするのがやっとだったのです。
やがてスタート時間となり、2人は1番ティーへ。
そこには支配人が気を利かせて用意してくれた電動カートと、馴染みのキャディーさんが待っていました。
「おはようございま~す。」
「おはようさん。
今日は2人だけでゆっくり回らせてもらうょ。 よろしくナ。」
とBさん。
「は~い、わかりました。 よろしくお願いします。」
キャディーさんも精一杯の笑顔でAさんに挨拶するものの、言葉はいつもより少なめ。
「おはよう、よろしく頼むょ。 じゃ、今日は後ろに誰もいないから “青マーク” からやらせてもらおうか。」
Bさんはそうするがために、敢えて最終組を予約していたのです。
ついこの間まで、何度も月例競技で立ったバックティー。
オナーのAさん・・・久しぶりなのに、いきなりナイスショット!
「おぉっ、スゲェな。 じゃ、こっちも遠慮なくやらせてもらうゼ。」
Bさんも鋭い弾道でフェアウェーをキープ。
さすがは2人とも月例Aクラスで鳴らすシングルプレーヤー。
しかし、Aさんの飛距離は目に見えて落ちていました。
いつもなら楽々パーオンできるミドルホールなのに、この日は2打では届かず。
サンドウェッジのアプローチでグリーンエッジ近くに3オン。
「さぁ、オマエからだぞ。」
Bさんに声をかけられ、パターをキャディーさんから受け取ったAさんは、約15m程のパーパット。
カップに向けて強めにヒット・・・のはずが、ボールは僅か2m程しか転がらず大ショート。
ダフッたのか?
黙ってボールのそばまで近づいたAさん、アドレスして打ったセカンドパットはまたもや2m弱しか転がりません。
一体、どうして?
・・・・・To be continued.