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還暦を過ぎ、新たな人生を模索中・・・。

〝9.11〟によってワールド・トレードセンターが崩壊して以降、『CSI:NY』などの人気TVドラマや映画などで映し出すニューヨークの街並みを象徴するシーンによく登場するのが、

 クライスラー・ビルディング

       Chrysler Building

 

        

 

↑の画像ではピンとこなくても、夜景を見れば特徴的な頂上部のデザインに見覚えのある方は多いはず。

       

このかつては高さ世界一を誇った高層ビルがオープンしたのが、今からちょうど90年前の今日でした。

レキシントン・アベニューと東42丁目の角に立つ地上77階・エレベーター32基を持つこの超高層ビルは、世界大恐慌が起きる前年の1928年9月に着工しました。

当時ニューヨーク市内では、高さ世界一を狙って超高層ビルの建設ブームの最中にあり、当然このビルもその栄冠を狙っていました。

その名の通り、自動車メーカーのクライスラー社の本社ビルとして建設されたものですが、驚くべきことにその建築資金は同社ではなく、同社の創業者であるウォルター・クライスラーが個人資産で賄ったといいますから、驚き。

       

                  Walter Percy Chrysler

 

そして前述の通り、建築家ウィリアム・アレンが設計したこのアール・デコ調のビルは、ほぼ同時進行で建築されたライバルのウォール・タワーの動向によって、設計変更を繰り返しました。

当初の設計では高さ246mでしたが、ウォール・タワーの完成予定が260mだったことから、クライスラーの指示で282mに設計変更。

それを知ったウォール・タワーも設計を変更し、1930年4月に283mで完成。


しかしこの設計変更情報を聞きつけた設計者のアレンは、クライスラーの許可を取り、ビル上部に38mの尖塔を乗せる計画を立案。

ビル内部で密かに4つのパーツに分けて組み立てられた尖塔は、ウォール・タワー完成翌月の5月20日にビル屋上のドームに突如取り付けられて高さは319mとなり、見事世界一高いビルに。

一週間後の5月27日に開業し、ライバルのウォール・タワーは三日天下ならぬ僅か1ヶ月で世界一の座を奪われてしまいました。

同ビルは突貫工事で建設され、1週間で4階を積み上げるというハイ・スピード。

それでいて工事期間中事故による死者はゼロだったそうですから、ある意味驚異的。


しかし記録は破られるためにある・・・このクライスラー・ビルも、翌年にはエンパイアステート・ビルに世界一の座を奪われてしまうのですが。

但し皮肉にも世界第2位の座は、シカゴにジョン・ハンコック・センターが完成するまで38年間維持しました。

でも2位じゃ意味ない・・・ってクライスラー本人も思っていたはず。 
そう思いませんか? 蓮舫さん。

 ※エンパイアステート・ビルに関する過去記事は、こちら。(↓)

 

創業者クライスラーはビル完成10年後の1940年に65歳で逝去。

そしてクライスラー社は1987年にジープとイーグルの両ブランドをアメリカン・モータースから買収し、米自動車三大メーカーの一角としてその地位を築いたものの、1998年に独ダイムラー・ベンツに吸収。

そして2007年に合併は解消され、クライスラー部門は資産運用会社に売却され、2009年に破産、現在はフィアット・グループ傘下でブランド再建を目指しているとか。

またクライスラー・ビルも同社の手を離れ、現在はアラブ系ファンドが所有権の殆どを握っているとか。

20世紀前半の栄華を象徴するビルも、今は昔・・・辛うじて名前がクライスラーのままなのが、せめてもの救いでしょうか?



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