〝三代目が身上を潰す〟 という格言がありますが、これは洋の東西を問わない・・・いや世界的に有名な企業にも当て嵌まるようです。
〝G〟を2つ並べたロゴマークでお馴染みのブランドといえば、
グッチ
Gucci
これはグッチオ・グッチ(Guccio Gucci ) が1923年に皮革製バッグの製造・販売する会社として立ち上げたのが始まりでした。
そして1953年に創業者グッチオが亡くなると、三男アルドが経営を引き継ぎ、女性服や靴・香水など扱い品目を増やして1970年代に事業を拡大させました。
しかし、良かったのはここまで。
80年代に入ると、アルドの息子即ちグッチオの孫・パウロが高級化路線に反発し独断で低価格ブランドを立ち上げます。
これに激怒したファミリーは、パウロを追放。
パウロは仕返しとばかりに1982年にテレビ番組で内情を暴露し、父親を脱税で告発・・・アルドは逮捕されてしまいます。
ここで後継者として白羽の矢が立ったのが、アルドの弟でグッチオの五男・ロドルフォの一人息子・・・つまりバウロの従兄弟にあたるマウリツィオでした。
(ロドルフォは元々俳優志望でハリウッドで働いていた時期がありましたが、そのコネでグッチ製品を映画の小道具として使わせ、これがアメリカの女性に好評を博したことからエリザベス・テーラー、オードリー・ヘップバーンらハリウッドスターやジャクリーヌ・ケネディら世界のセレブ御用達にした功労者。)
真面目な仕事ぶりを評価されていたマウリツィオでしたが、問題はその妻・パトリツィア。
実は彼女、将来ルドルフォが亡くなればその財産をマウリツィオが相続することを見込んで、彼に色仕掛けで接近したのです。
ロドルフォはそれに気づき、息子との結婚に猛反対。
しかしマウリツィオは美しきパトリツィアの誘惑に勝てず、父親の反対を押し切って結婚。
そして彼女の思惑通り、ルドルフォが亡くなり遺産を相続しましたが、野心家の彼女はそれだけで満足せず、社長夫人になることをアルド家のゴタゴタに乗じる形で画策します。
夫をけしかけて父親と衝突していたパウロから株式を買い取らせ、総株式の50%以上を手中に収めると、三代目社長に就任させることに成功。
見事社長夫人の座を射止めた・・・までは良かったのですが、その後彼女は勝手に自らデザインしたバッグを作らせるなど女帝ぶりを発揮。
その本性にようやく気付いたマウリツィオは、1993年に彼女と離婚。
そして真面目なだけで元々経営手腕の無かった彼が指揮するグッチの業績は低迷し、結局彼は離婚した年に全株式をアラブ資本に売却し、グッチの経営から離れることに。
さて、収まらなかったのがパトリツィア。
社長夫人の座を追われた彼女は、その復讐を果たすべくマフィアに元夫の殺害を依頼。
マウリツィオは今からちょうど25年前の今日・1995年3月27日・・・多くの人が行き来する路上で射殺されてしまったのです。
パトリツィアはマウリツィオ暗殺のわずか数時間後に裁判所に行き、マウリツィオの住宅などの差し押さえの申請をしたといいますから、何とも・・・。
犯人が分からぬまま数年が経過しましたが、暗殺の報酬(7千万円)に対する不満から実行犯が警察にチクッだことで事件の真相が発覚。
パトリツィアは逮捕され、懲役29年の判決を受け服役しました。
その彼女、実は10年ほど前に 「外に出ても働きたくないから」 という理由で、保釈を拒否すると発言。
更には「グッチ一族の一員として戻るのが夢」とも・・・呆れてモノが言えません。
世の男性諸氏、伴侶を選ぶ時はくれぐれも慎重に・・・って、私のような平民にそんな女性は近寄ってこないでしょうけど。