今日は、19世紀後半に活躍したスペインの天才ヴァイオリニスト、
パブロ・マルティン・メリトン・デ・サラサーテ・イ・ナバスクエス
Pablo Martín Melitón de Sarasate y Navascués
の命日・没後110周年にあたります。
フルネームだと誰のことなのか一瞬分かりませんが、単に〝サラサーテ〟と言われれば、クラシック音楽ファンの方ならご存知のはず。
1844年にパンプローナで生まれたサラサーテは、幼少期からその才能を見抜いた父親にヴァイオリンを習わされ、早くも8歳で初公演。
10歳で女王の前で演奏披露すると、11歳の時にパリの名門コンセルヴァトワールに留学し、13歳でヴァイオリン科の1等賞を獲得したという、まさに神童。
19歳頃には親友となったサン・サーンスと演奏旅行を行い、彼からヴァイオリン協奏曲第3番などの献呈を受けました。
また 『スペイン交響曲』(ラロ)、『ヴァイオリン協奏曲第2番』(ブルッフ)の献呈を受けて初演を行い、更に彼の類い稀なる高度なテクニックはチャイコフスキー・ブラームスのヴァイオリン協奏曲にも影響を与えたといわれています。
1908年9月20日、慢性気管支炎のため64歳でこの世を去った稀代の天才ヴァイオリニストの名が現代でも知られているのは、彼の遺した数少ない作品の中に、今日のブログ・タイトル 『ツィゴイネルワイゼン』 という不滅の名曲があるからでしょう。
ドイツ語で 〝ロマ(ジプシー)のメロディ〟 という意味を持ち、複数のハンバリー民謡の旋律が取り入れられている非常に華々しいこの曲は1878年に完成。
私にとってこの曲は、おそらく生まれて初めて聴いたヴァイオリン曲だったと思います。
小学校の音楽の授業で、Y・ハイフェッツの演奏をレコードで聴かされた時の感動・衝撃は、今もって忘れることが出来ません。
もちろんヴァイオリンは手にした事はありませんでしたが、ピチカートなどありとあらゆるテクニックを要する曲であることは、子供の私にも分かりました。
書道ではないですが、まさに〝ヴァイオリンの永字八法〟という感じ。
で、私の手許にあるCDが、コレ。(↓)
ジャケットの写真も演奏も、小学校で聴いたレコードと同じもの。
あれから半世紀近く経った今でも、この曲に関してはハイフェッツの演奏しか聴く気がしないのです。
※ハイフェッツの演奏(1967年録音・LP版)を、こちらでどうぞ。(↓)
と言いつつ、私の手元には面白いCDが・・・それは何と、サラサーテ自身の演奏が収録されているもの。
このCDは、19世紀後半から20世紀初頭にかけて活躍したヴァイオリニストの録音を集めたものですが、サラサーテの演奏録音は1904年・・・何と114年前のものなのです。
まさに時空を超えた演奏は、音質の悪さを超越して深い感動を聴く者に与えてくれます。
※こちらで、その自演をお聴きいただけます。(↓)
最新デジタル録音による美人女流ヴァイオリニストの演奏も魅力的ですが、こんな歴史的演奏に耳を傾けるのも、クラシック音楽の醍醐味ではないでしょうか。
今宵はこの自作自演を聴きつつ、1世紀以上前に活躍したヴィルトゥオーソの冥福を祈りたいと思います。