祝 祭 | ナベちゃんの徒然草

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還暦を過ぎ、新たな人生を模索中・・・。

クラシック音楽の世界には人気の高いコンサートが多々ありますが、その中でも最もチケットの入手が困難とされているのが、毎年7~8月にかけて開催される

 バイロイト音楽祭

 Bayreuther Festspiele

 

このワーグナーの作品だけ(例外的にベートーヴェンの第九)を演奏する演奏会がバイロイト祝祭劇場で初めて行われたのは、今から143年前の今日のことでした。

 

          

 

 自作の楽劇を自分の理想的な形で上演することを夢見ていたワーグナーは、専用劇場の建設を決意。

そして最終的に見つけた土地が、ドイツ南西部のオーストリアに近いバイエルン州バイロイトでした。

 

       

バイエルン国王ルートヴィヒ2世から借金してまで1872年から建設が始まったバイロイト祝祭劇場は、1876年に完成。

第1回の演奏会として、ルートヴィヒ2世やドイツ皇帝ヴィルヘルム1世、ブラジル皇帝ペドロ2世などの国賓、リストやブルックナー、チャイコフスキーなどの音楽家らを集め、ハンス・リヒターの指揮で 『ニーベルングの指輪』 が上演されたのが同年8月13日のことでした。

しかし評判はあまり芳しくなく、興行としても大赤字でワーグナーは落胆・・・1882年まで音楽祭は開催されませんでした。

その後も第一次世界大戦や第二次世界大戦の影響で開催されない年が何年かありましたが、この音楽会の時だけ編成されるバイロイト祝祭管弦楽団を指揮したのは、R・シュトラウス、トスカニーニ、フルトヴェングラー、ベーム、カラヤン、バレンボイムなど超一流ばかり。

 

加えて開催時期が僅か1ヶ月あまりのため、必然的にチケットの入手は困難に。

バイロイト音楽祭を鑑賞することは、熱狂的なワーグナー・ファン(ワグネリアン)にとっての夢・・・チケットを取るためには事務所に毎年申し込みをしてワーグナーに対する思いを訴え、5~10年後にようやくチケットが送られてく.るそうな。

 

料金は一番高くて300ユーロ(約4万円)だそうですが、問題はバイロイトまで行かねばならぬこと。

年にこの音楽祭の時期しか混まない土地柄なのでホテルはそれほど多くなく、また空港はもちろん鉄道の駅すらない辺鄙(失礼!)な場所にありますから、すべてを自分で手配するのは大変。

ドイツ語に自信のない方は、旅行会社が企画している100万円前後の観劇ツアーに申し込む方が無難でしょう。

またサントリーホール(2,006席)とほぼ同規模の1,887席を有するこのバイロイト祝祭劇場は、ワーグナーがより良い演奏と音響を考えて作ったホールのため木造で、椅子も固い木製。

 

       

彼の作品は演奏時間が長いため、観客が寝ないよう座り心地を敢えて良くしていないそうで、しかも冷房設備なし。

おまけに正装がマナーとされていますから、観客も大変。

 

時々高齢者が倒れるそうですから、オペラ鑑賞というより難行苦行と言えるかも?

ただしオーケストラ・ピットは観客から全く見えない低い位置に作られているため、団員たちは軽装で演奏しているそうですが・・・。

 

この劇場に行かれる方は、それなりの資金と覚悟が必要なようです。

とは言え、歴史と伝統のある同音楽会は今後とも開催され続けて欲しいところ。


そして総監督は、代々ワーグナーの子孫及びその係累によってのみ受け継がれており、現在は彼の曾孫にあたるカタリーナ・ワーグナー。

 

       


彼女の演出は非常に斬新で、過去に賛否両論を巻き起こしたことも。

果たしてワーグナーは、彼女が取り仕切るバイロイト音楽祭をどんな気持ちで天国から眺めていることやら・・・。

 

 

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