【葬儀屋時代の思ひ出】 司 会 <上> | ナベちゃんの徒然草

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還暦を過ぎ、新たな人生を模索中・・・。

葬儀屋稼業から足を洗って早や1年が経ちましたが、17年間お世話させていただいた現場では、今もって忘れられない出来事がいくつもありました。

ということで、今後拙ブログでは折を見てそのエピソードをご紹介したいと思いますが、今日はその第一弾を・・・。

           ◆     ◆     ◆     ◆

亡くなられた女性は、娘のA子さんと同居されていた70歳過ぎの方でした。

 

生前より 「私の葬式は親戚だけお呼びして、無宗教葬でお願いネ。」 とA子さんに伝えていたとのこと・・・。

 

私は喪主をお務めになるA子さんとご要望に沿う形での打ち合わせをさせていただき、ご親族様のみ約20名での家族葬ということで、特に問題もなく粛々と準備を進めていきました。

 

通夜当日の昼過ぎまでは・・・。

 

       

 

通夜当日の午後、私たちが式場でお通夜の準備を始めた直後、故人様の弟(つまりA子さんの叔父様)と名乗るSさんが、ポロシャツ1枚というラフ(?)なスタイルで突然お見えになったのです。

 

(開式までまだ何時間もあるのに・・・なんで?)

 

といぶかる私に、Sさんは予想だにしない言葉を口にしたのです。

「あのさァ、葬儀屋さん。 悪いけど今日の通夜・・・オレが司会進行やるからさァ。 そのつもりで頼むョ!」

 

「え゛っ!?」

呆気に取られている私にSさんは、

 

「じゃ、よろしくねぇ~。」

 

と言い残し、スタスタと式場から出て行ってしまいました。

 

(い、一体どういうこと?)

 

頭が混乱しているところへ、入れ替わるようにA子さんが来られました。

 

早速その出来事をお話しすると、A子さんはため息混じりに

 

「やっぱり・・・。」

 

何でも、亡くなったお母様は5人姉弟のご長女。 

 

上から4人は全員女性、末弟であるSさんのみが男性ということで、本家を継いでいらっしゃるのだとか。

 

Sさんはご自分が本家筋だという意識が大変強いとの事。 

 

これまでも事ある毎に親戚が絡む行事に介入してきたそうで、この日も午前中にA子さんに電話をよこして、

 

「A子ちゃん、オレが仕切ってあげるから大丈夫。 

心配しなくていいから!」

 

と言って一方的に電話を切ってしまったのだそうです。

 

A子さんの立場としては、Sさんの〝ご好意(?)〟を無碍に断るわけにも行かず・・・

 

「渡辺さん、どうしましょう?」

 

と、不安な面持ちで問いかけられた私は、

「無宗教葬ですので、いざとなれば私の方で何とかしますから、どうかご心配なく。」

と胸を張ったものの、一抹の不安は拭えず。
うー

 

(まぁ、開式前に打ち合わせさせていただくしかないか・・・。)

 

そう思いながら、お通夜の準備を再び始めたのですが・・・。

 

時間は進み、開式10分前の午後5時50分。 

既にご親族は全員式場に到着されています。

 

ところが、肝心カナメのSさんだけがまだ姿を見せてくれません。

 

司会進行を自ら申し出られている以上、私が勝手に始めるわけにもいかず。

 

開式前から風雲急を告げるご葬儀・・・一体どんな展開になるのやら?

             

                  ・・・・・To be continued!

 

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