自然災害時の被災者や、山や海での遭難者の救助時に活躍したり、最近では逃走する交通違反者や犯人を追跡する際に威力を発揮しているのが
ヘリコプター
この滑走路要らずで、しかも時速300km近いスピードで飛べる便利な航空機が、初めて実用飛行に成功したのが、今からちょうど80年前の今日・1936年6月26日のことでした。
日本で 『2・26事件』 が起きた4ヶ月後ってことになります。
ギリシャ語の “helico ”(螺旋) と “pteron ”(翼) からその名がついたヘリコプターの紀元は、紀元前の中国にあった竹とんぼ。
そして科学的にこれを研究したのは、15世紀のレオナルド・ダ・ヴィンチ。
彼の残したスケッチは、有名ですネ。
※余談ですが、『ANA』が全日空時代にこのデッサンを基にしたトレードマークを使用していましたが、それは同社の前身が『日本ヘリコプター輸送』だったから。
更に18~19世紀にも模型や蒸気機関を搭載した実験機が制作され、かのトーマス・エジソンも開発に乗り出しましたが、爆発事故を起こして撤退したとか。
また飛行機に現在のローターを取り付けたオートジャィロも開発されましたが、実際に地上から浮上できるようになったのは、20世紀に入ってから。
1907年にフランス人3人が相次いで少しながらホバリングに成功し、また1917年にはオーストリア=ハンバリー帝国でも4つのローターを取り付けたヘリコプターも成功。
そして初めてホパリングだけでなく前進飛行もできる世界初の実用ヘリコプターとして飛行に成功したのが、
フォッケウルフ Fw 61
Focke-Wulf Fw 61
開発したのは、ドイツのエンジニア、ハインリヒ・フォッケとゲオルク・ウルフの2人。
2基のローターが、何やらオスプレイに似た形・・・というか、オスプレイがこのスタイルをヒントにしたのかも。
この飛行機にも似たヘリコプターは、航続距離230km、最高速度・時速120kmを記録したといいますから、立派なもの。
※機首にもプロペラか装着されていますが、これは空冷星型エンジン冷却用に取り付けたもので、前進推力には利用されていません。
その後エンジンの改良などで性能は向上、冒頭のように人命救助などに力を発揮しているヘリコプターですが、残念ながらその開発には武器としての目的があったことは否めません。
最高時速300km近くで、輸送力もあり、しかも滑走路要らずとなれば、それも致し方ないでしょうが・・・。
映画でも戦闘シーンによく登場しますが、個人的に最も印象に残っているのは、『地獄の黙示録』(1979年)でワーグナーの〝ワルキューレの騎行〟をBGMにして登場したヘリ軍団。
迫力十分のシーンでしたが、現在軍用で投入されている攻撃ヘリは、格段にゴツくなっています。
例えば最新鋭の〝アパッチ・ガーディアン(AH-64E)〟は、最高速度時速300km超、積載加重約5トン、航続飛行時間3時間超。
これでチェーンガンやロケット弾も装備し無人機の遠隔操作も可能、しかも滑走路要らずなのですから、兵器として優秀なのは素人でも分かります。
ただ、問題なのは価格。
この最新鋭機の前のタイプ・AH-64Dは自衛隊にも配備されているのですが、1機50億円超という超高値。
今後も尖閣防衛等を睨み配備は続くのでしょうが・・・国防には、本当にカネがかかりますネ。